演題

腹腔鏡下胃癌手術における術中内視鏡の有用性

[演者] 谷島 雄一郎:1
[著者] 仲吉 朋子:1, 入村 雄也:1, 伊藤 恵理子:1, 岡本 友好:1, 矢永 勝彦:2
1:東京慈恵会医科大学附属第三病院 外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 肝胆膵外科

【背景】
近年,体腔内吻合で再建されることが多い腹腔鏡下胃癌手術では,術中触診で病変を同定することが不可能であり,必要十分な断端距離を設定することが困難な場合がある.我々は腹腔鏡下胃癌手術において,切離線の確実な設定,また,吻合線からの出血や縫合状態の確認を目的に術中内視鏡を行っている.当院での腹腔鏡下胃癌手術における術中内視鏡の有用性を検討したので報告する.
【対象と方法】
対象は腹腔鏡下胃癌手術時に術中内視鏡を行った症例25例(49-89[平均68.4]歳,男/女:18例:7例).術式は幽門側胃切除/噴門側胃切除/胃全摘術:16例/ 4例/ 5例であった.幽門側胃切除術では,近位側断端切離前に経口内視鏡を挿入して切離線を設定し,内視鏡を食道内に留置しておき,切除・吻合操作後に吻合部の内腔の観察ならびにair leak testを行なった.噴門側胃切除術では遠位側切離線を設定し,同様に吻合後の内視鏡観察を行なった.胃全摘術では吻合後に内視鏡観察を行った.
【結果】
術中内視鏡所要時間(含,挿入時間)は,切離線決定が平均8.1±2.5分で,吻合後の確認が6.8±4.3分であった.
幽門側胃切除術における近位断端は49±28mmで,全例に病理診断で断端陰性であった.吻合後の内視鏡観察で2例で,内腔観察では異常を認めないものの同時腹腔鏡下観察で吻合部からair leakを認め,補強縫合を追加した.
噴門側胃切除術における遠位断端は29±25mm,吻合後の内視鏡観察では吻合部に異常を認めなかった.
胃全摘術における吻合後の内視鏡観察では,1例で吻合部から挙上空腸内腔が観察できず,circular staplerによる粘膜巻き込みによる内腔閉塞と診断し,腹腔鏡下で再吻合を行なった.同症例は同時腹腔鏡下観察のみでは異常を指摘できなかった.
術後には全例で吻合部出血や縫合不全を認めず,術中内視鏡使用に起因すると考えられる合併症も認めていない.
【結論】
術中内視鏡の所要時間は充分短く,腹腔鏡下胃癌手術における胃切離線の決定と吻合部トラブルの回避に有用と考える.
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