演題

下部直腸癌における側方リンパ節郭清の生存寄与指数に関する検討

[演者] 梶原 由規:1
[著者] 神藤 英二:1, 望月 早月:1, 野呂 拓史:1, 平木 修一:1, 青笹 季文:1, 辻本 広紀:1, 長谷 和生:1, 山本 順司:1, 上野 秀樹:1
1:防衛医科大学校医学部 外科学

【背景と目的】本邦では,側方リンパ節(LLN)郭清は下部直腸癌における標準治療に位置づけられている.本検討では,下部直腸癌における郭清効率の高い側方領域と,側方郭清による予後改善寄与度が高い症例の特徴を明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】1981年から年2013年の間に側方郭清を伴う治癒切除を施行した下部直腸癌489例を対象とした.LLN転移率にLLN転移陽性例の5年癌特異的生存率(CSS)を乗ずることにより,生存率に関わる治療効果指数(生存寄与指数)を算出し,検討因子ごとに比較した.
【結果】(1)側方郭清効果の位置づけ:側方転移は68例(13.9%)に陽性であり,これらの症例の5年CSSは50.4%であった.側方郭清の生存寄与指数は7.0点と算出され,これは中間リンパ節(252)(転移頻度8.0%,5年CSS 58.9%)の4.7点,主リンパ節(253)(転移頻度1.0%,5年CSS 20.0%)の0.2点と比較して高得点であった.(2)領域別の側方郭清効果の比較:側方領域別(263D,263P,273,283,293)の転移頻度は,各々8.8%,3.1%,0.8%,3.9%,0.6%であり,生存寄与指数は夫々5.3点,1.6点,0.6点,1.9点,0.6点であった.263D,263P,283で治療指数が良好であった.過去にLLNとされていた270,280,292の生存寄与指数は夫々0.4点,0.2点,0.3点であり,現行規約のいずれのLLN領域よりも低い得点であった.(3)高い郭清効果が得られる症例の特徴:LLN転移個数を基準に1個(36例),2個(20例),3個以上(12例) の症例群に分別すると,夫々の5年CSSは72.5%,52.8%,32.1%であり,転移個数が1個の症例で有意に予後良好であった(p = 0.042).各症例群の生存寄与指数は夫々5.4点,2.2点,0.8点と算出され,転移個数が増加するとともに指数は低下した.一方,壁深達度別の生存寄与指数はpT2(96例)で4.2点, pT3(334例)で7.9点, pT4(59例)で6.7点と比較的近似していた.同様に腸管傍リンパ節転移個数別の生存寄与指数は,0個群(282例)で4.2点,1-3個群(141例)で8.6点,≧4個群(66例) で 16.2点 であり,「腸管傍リンパ節転移個数≧4個」は最も高い生存寄与度が得られる条件であった.
【結語】生存寄与指数の観点から大腸癌取扱い規約第8版によるD3の定義は妥当であり,特にLLN転移個数が少ない症例と腸管傍リンパ節転移が高度な症例では側方郭清の生存寄与度が高いと考えられた.
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