演題

胃癌における胃内洗浄細胞診-胃内遊離癌細胞脱落のリスク因子と胃内洗浄-

[演者] 大木 亜津子:1
[著者] 阿部 展次:1, 吉本 恵理:1, 近藤 恵里:1, 橋本 佳和:1, 竹内 弘久:1, 長尾 玄:1, 正木 忠彦:1, 森 俊幸:1, 杉山 政則:1
1:杏林大学医学部 消化器・一般外科

【背景】胃癌に対するclassical LECSなどの胃開放手術では遊離癌細胞の腹腔内散布,ひいては腹膜播種が懸念されているが,どのような癌腫で癌細胞が遊離しやすいかは明らかでない.
【目的】ラクテックによる胃内洗浄細胞診を施行し,胃内遊離癌細胞検出頻度を明らかにしたうえで,遊離癌細胞が脱落しやすい臨床病理学的特徴を明らかにする.
【対象と方法】胃癌83例(早期57,進行26)を対象とした.内視鏡にてラクテック250mlを腫瘍中心部に散布,洗浄液を回収した.洗浄液を遠心分離し,沈渣を塗沫,細胞診にて診断した.得られた異型腺細胞の細胞形態が主病巣のHE染色結果と酷似している場合に遊離癌細胞陽性と判定した.遊離癌細胞が脱落しやすいリスク因子抽出のため,遊離癌細胞陽性/陰性と臨床病理学的因子との比較検討(単変量解析)を行った.
【結果】遊離癌細胞は43例(52%)に検出された(進行癌77%,早期癌40%).遊離癌細胞の細胞形態は良好に保たれていた.遊離癌細胞検出と臨床病理学的因子に関する解析では,組織型,リンパ節転移との関連は認めなかったが,深達度T2以深(40%vs77%),腫瘍径20㎜以上(21%vs64%),リンパ管侵襲陽性(36%vs72%),静脈侵襲陽性(42%vs71%)で遊離癌細胞が有意に高率検出された.
【考察と結論】早期/進行癌にかかわらず,内視鏡洗浄操作だけでも高率に癌細胞が胃内に脱落しえる.特に,深達度T2以深,腫瘍径20㎜以上,リンパ管・静脈侵襲陽性例では高率にこの現象が起こりえる.したがって,早期癌症例(特に≧20mm)でも,脈管侵襲有無が不明な状況下での開放式LECS(classical LECS)は腫瘍学的観点からやはり望ましくないと考えられた.
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