演題

胃癌における胃漿膜捺印細胞診および擦過細胞RT-PCRによる術後再発予測

[演者] 三木 友一朗:1
[著者] 八代 正和:1,2, 奥野 倫久:1,2, 北山 紀州:1,2, 田村 達郎:1, 豊川 貴弘:1, 田中 浩明:1, 六車 一哉:1, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学, 2:大阪市立大学大学院 癌分子病態制御学

【背景】腹膜播種は胃癌患者における切除後の再発形式として重要である.従来は手術開始時の腹水洗浄細胞診が腹膜播種再発の高リスク症例の同定に用いられている事が多いが,感度の低さが問題であり,実際にCY0のStage II-III症例においても約30%に腹膜播種再発が見られる.
【目的】
胃漿膜の捺印細胞診および擦過細胞RT-PCR法が,胃癌術後の腹膜再発予測に有用か明らかにすることを目的とした.
【対象と方法】
2010年から2015年に当院にて進行胃癌手術症例70例を対象とした.胃腫瘍の漿膜面をスライドガラスにて捺印しアルコール固定した.パパニコロー染色を行い,鏡検にて評価した.パパニコロー分類におけるClass IVおよびVを陽性と定義した.同時に腫瘍の漿膜面を綿棒にて擦過し,擦過細胞からRNAを抽出した.CEA mRNAおよびCytokeratin (CK) 20 mRNAをマーカー用いてRT-PCRにて胃癌細胞の存在を解析した.捺印細診および擦過細胞診の結果と臨床病理学的因子との関連性を統計学的に検討した.
【結果】
進行胃癌手術症例70例中,捺印細胞診陽性は11例であった.擦過細胞におけるCEA mRNAおよびCK20 mRNAはそれぞれ8例および5例が陽性であった.捺印細胞診もしくは擦過細胞RT-PCRのいずれか陽性は21症例であり,これらを漿膜露出細胞陽性例と判定した.漿膜露出細胞陽性症例は N2-3症例が有意(p = 0.013)に多かったが,その他の臨床病理学的因子には有意差を認めなかった.漿膜露出細胞陽性症例21例における3年無再発生存率は41.7%であり,陰性49例の81.0%と比較して有意(Log-rank;p = 0.0002)に予後不良であった.腫瘍径およびStageを共変量とした多変量解析においても漿膜露出細胞陽性は独立した再発予測因子であった.
【結語】
胃腫瘍漿膜の捺印細胞診および擦過細胞RT-PCRは,胃癌術後の再発予測に有用である.この診断法に基づいた再発予防の治療戦略が望まれる.
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