演題

定型的胃切除術後合併症予測因子としてのplatelet-lymphocyte ratio の有用性

[演者] 稲岡 健一:1
[著者] 神田 光郎:1, 田中 千恵:1, 山田 豪:1, 藤井 努:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 小池 聖彦:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【背景】
進行胃癌に対する標準治療である系統的リンパ節郭清を伴う定型的胃切除術後は,一定頻度で縫合不全や膵液漏などの術後合併症を生じる.個々の症例において術前インフォームドコンセントおよび周術期管理を適切に行うためには,合併症リスク階層化を可能とする鋭敏な術前指標の同定が必要である.
【方法】
1999年1月から2016年9月までにclinical T2-4胃癌に対して,系統的リンパ節郭清を伴う胃全摘術もしくは幽門側胃切除術を施行した312例を対象とした.術前血液検査から算出可能な指標のClavien-Dindo分類におけるgrade 2以上の術後腹腔内合併症発生との相関性を検討した.年齢,術前BMI,術式,臨床病期ごとのサブグループでも,合併症予測能を解析した.
【結果】
各種指標を対象としたROC曲線解析で,platelet-lymphocyte ratio(PLR; 総リンパ球数/血小板数 × 100)が最も高い術後合併症発生に対するAUC値(0.639)を示した.至適カットオフ値は0.71と算出された.このカットオフ値を用いて高PLR群と低PLR群の2群に分けて比較解析を行った.低PLR群では有意に術後合併症発生率が高く,縫合不全,膵液漏,腹腔内膿瘍,腸閉塞のいずれの発生率も高PLR群より高かった.多変量解析において,術前低PLRは独立した術後合併症危険因子として検出された(オッズ比2.43, 95%CI 1.35 - 4.43, P<0.001).年齢,BMI,術式,臨床病期別のいずれのサブグループにおいても,低PLR群では高PLR群と比較して術後合併症率は高値であった.
【結語】
術前PLR値は,胃癌に対する定型的胃切除術後合併症予測因子として有用である可能性が示唆された.
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