演題

胃癌におけるNK細胞のCD137発現誘導とCD137刺激による抗腫瘍効果の検討

[演者] 三隅 俊博:1,2
[著者] 田邊 和照:1, 竹原 寛樹:1, 佐伯 吉弘:1, 堀田 龍一:1, 鈴木 崇久:2, 田代 裕尊:2, 大段 秀樹:1
1:広島大学大学院 消化器・移植外科学, 2:呉医療センター・中国がんセンター 外科

TrastuzumabはHER2を標的とした分子標的薬で,NK細胞を介した抗体依存性細胞障害(ADCC)により抗腫瘍効果を示し,現在,HER2陽性胃癌患者に用いられている.一方,CD137は様々な活性化した免疫細胞に表出する腫瘍壊死因子の一つであり,近年,CD137刺激により分子標的薬のADCC活性を増強することが報告されている.そこで我々は,胃癌細胞においてもTrastuzumabを投与することによりNK細胞にCD137を発現誘導させることが可能であり,CD137刺激により抗腫瘍効果が増強すると仮説を立て検討を行った.また臨床試験において有効性を示すことができなかった抗EGFR抗体であるCetuximabも,CD137刺激を併用することにより,胃癌に対しても抗腫瘍効果が得られると考え,検討を行った.
結果:胃癌細胞にTrastuzumabを投与しNK細胞と共培養したところ,胃癌細胞のHER2陽性率に応じてNK細胞のCD137が発現増強した.さらにrecombinant CD137 proteinを投与し,NK細胞に発現したCD137を刺激することで,抗腫瘍効果が高まることを明らかにした.また同様にCetuximabも,胃癌細胞に投与することにより,EGFR陽性率に応じてNK細胞のCD137の発現が増強し,CD137を刺激することで抗腫瘍効果が高まることを見出した.
NK細胞のCD137発現誘導については,FcgammaRとFc部位との結合が重要であることが報告されており,分子標的薬を固相化した後にNK細胞を培養したところ,癌細胞非存在下でもNK細胞にCD137を発現させることが可能であった.そこで効率的に発現誘導するIgG subclassを同定するため,IgG1,IgG2,IgG3,IgG4を固相化し,NK細胞を培養したところ,IgG3,IgG1においてより発現誘導可能であることを明らかにした.NK細胞のFcgammaRにおいては,SNPを検討し,FcgammaRIIIA-158F carrierと比較しV/VにおいてよりCD137が発現することを明らかにした.
結語:胃癌においてもTrastuzumab投与と共に,CD137を刺激することによりNK細胞の抗腫瘍効果を増強することが可能であった.さらにCetuximabもCD137刺激と併用することにより胃癌において抗腫瘍効果が得られる可能性が示唆された.NK細胞にCD137を効率的に発現誘導することにより,内在免疫機構を用いた新たな治療戦略となりうると考えられた.
詳細検索