演題

消化管癌におけるGlycoprotein nonmetastatic B(GPNMB)のEGFRとのcross talkと転移への関与

[演者] 田島 ジェシー雄:1
[著者] 二村 学:1, スチン ゴア:1, 森 龍太郎:1, 棚橋 利行:1, 田中 善宏:1, 松橋 延壽:1, 高橋 孝夫:1, 山口 和也:1, 吉田 和弘:1
1:岐阜大学大学院 腫瘍外科学

(背景)Glycoprotein nonmetastatic B (GPNMB)はⅠ型膜貫通タンパクで,悪性黒色腫や乳癌において高発現し,転移・浸潤や血管新生,免疫回避に関与するとされる.2011年から2013年に当院で治療を行った乳癌胃癌大腸癌患者の治療前の血清GPNMB値(ERISA法)を検討した結果,GPNMB値は乳癌,特にHER2陽性例で有意に高値であり,GPNMB高発現の乳癌細胞株にてGPNMBとHER2のcross talkが明らかとなった.(Kanematsu et al.Cancer Med 2015)
(目的)胃癌(GC)大腸癌(CRC)におけるGPNMBとHER familyとのcross talkの有無と,その臨床的意義について検証する.
(対象と方法)GC cell lines: MKN1,MKN74,CRC cell lines: Caco-2,SW48(KRAS wt),LS174T(KRAS mt)を用いて①GPNMB knockdownによる,HER2,EGFRの発現の変化②Cetuximab投与後のGPNMBの発現の変化,からcross talkの有無を,③ERK阻害剤,およびAKT阻害剤投与後のGPNMBの変化,から関与する下流シグナルについて検討した.また④GPNMB抑制下でのCetuximab投与による相乗効果についてMTT assayで検討した.さらに⑤原発巣切除,抗EGFR治療施行後に転移肝切除を施行したCRC患者において原発巣と転移巣のGPNMBの変化を免疫染色(IHC)にて検討した.
(結果)①GC細胞株,CRC細胞株においてGPNMBをknockdownすると,主にEGFRでその発現および,リン酸化が亢進した.②Cetuximabをそれぞれ投与するとGPNMBの発現は増強し,③ERK阻害剤,AKT阻害剤で処理すると,ERK阻害で優位にGPNMBの発現は亢進した.④GPNMB抑制下でCetuximabを投与するとGCやKRAS mt CRCでは増殖抑制は示さなかったもののKRAS wt CRCではそれぞれの単独処理に比べ有意に相乗効果を認めた.⑤IHCでは対象8例中1例で肝転移巣が原発巣に比べ明らかなGPNMBの増強が確認された.
(結語)GPNMBはGC,CRCにおいてHER familyとcross talkがあり,転移組織で増強していることからも抗HER2療法や抗EGFR療法に対する耐性メカニズムもしくは癌の進行に関与している可能性が示唆された.
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