演題

胃癌における抗Claudin-4抗体の化学療法感受性への影響

[演者] 西口 由希子:1,2
[著者] 谷 里奈:2, 近藤 昌夫:3, 國安 弘基:2, 庄 雅之:1
1:奈良県立医科大学附属病院 消化器・小児外科・乳腺外科, 2:奈良県立医科大学 分子病理学, 3:大阪大学大学院 薬学研究科

【背景・目的】Claudinファミリーはtight junctionを形成する主要タンパクであり,細胞の極性・分化などに関与しているとされる.Claudin-4(CL4)は上皮性Claudinに広く含まれ種々の癌で高発現が報告されている.我々はこのCL4の細胞外ドメインに対する抗体を作製しこれまでに膀胱癌,膵癌などで抗CL4抗体による化学療法感受性の増強を報告している.今回,胃癌細胞株およびそれらを移植したマウスモデルで抗CL4抗体の化学療法感受性への影響につき検討した.
【方法・結果】まずCL4発現を2種のヒト胃癌細胞株TMK-1とMKN74で免疫染色により検討したところ,MKN74では細胞接着部の細胞膜に陽性像が見られtight junctionでの発現が高いという結果が得られた.TMK-1では細胞質での発現割合が高かった.抗CL4抗体はtight junctionに発現するCL4を標的とするためMKN74にcisplatin・抗CL4抗体投与及びCL4のノックダウン処理を行い,各群で化学療法感受性に変化があるか検討した.ノックダウン処理なし群では抗CL4抗体のcisplatin効果への上乗せが認められた.CL4ノックダウン処理を行いcisplatin投与した場合はノッダウンなしでのcisplatin投与時とほぼ差のない結果が得られた.このように抗CL4抗体処理によるtight junction障害はcisplatinの組織内透過性を増し効果を高めたと考えられた.これに対しCL4ノックダウン処理のみでは他のCL群がtight junctionのバリア機能を補っているものと考えられ,化学療法感受性の増強にはtight junctionにおけるCL4の発現に加えての抗体投与が必要であると考えられた.また,抗CL4抗体はADCC活性のない条件下でも化学療法への上乗せ効果を発揮することが確認された.
マウスモデルではTMK-1・MKN74をそれぞれヌードマウス皮下に移植し,未治療群・cisplatin単独投与群・cisplatinと抗CL4抗体併用群の3群を作成した.腫瘍組織を免疫染色で検討するとTMK-1群・MKN74群ともに併用群においてcisplatin単独群よりも腫瘍内部の壊死が高度であり,増殖マーカーKi67の低下,アポトーシスマーカーss-DNAの増加が見られ化学療法の感受性の増強が認められた.MKN74の方が感受性の増強が著明で,抗体の標的となるtight junctionでのCL4の発現がMKN74の方が高いことによると考えられた.
【結語】胃癌において細胞間tight junctionと化学療法抵抗性との関連性が示され,抗CL4抗体の併用が化学療法感受性増強に寄与する可能性が示唆された.
詳細検索