演題

FdUMPの濃度に注目した5FU耐性メカニズムの解析

[演者] 森 龍太郎:1
[著者] 棚橋 利行:1, 山口 和也:1, 吉田 和弘:1
1:岐阜大学大学院 腫瘍外科学

【はじめに】5FUはOPRTの作用を経て活性体FdUMPとなり活性葉酸とともにThymidylate synthase(TS)三量体を形成しDNA合成を阻害する.OPRT低発現,TS高発現は5FU耐性因子とされているが,これらですべての耐性機序は説明できないことから,今回FdUMPの細胞内濃度に注目して5FU耐性機序の解析を行った.【方法】細胞株は胃癌細胞株MKN45とその5FU耐性株を使用した.薬剤は5FU,deoxyuridine (dU),Fluoro-dU (FdU),Thymidine (dT),Raltitrexedを使用した.5FU処理で生じるTS三量体をFdUMP濃度の代替指標としてWestern blot (WB)で測定し,MTT assayで薬剤抵抗性を解析した.【結果】MKN45/F2RはMKN45と比較し5FUに52倍耐性,OPRT低発現,TS高発現で,5FU処理で生じるTS三量体は低下していた.MKN45のOPRTをKnockdownすると5FU処理後のTS三量体は低下し5FUへの抵抗性が増加することから,OPRT低下はFdUMPを低下させ5FU耐性を増加させると考えられた.しかしMKN45/F2RはOPRTの作用を経ないFdU処理でもTS三量体が低下しており,耐性も5FUと同程度であった.またdUおよびdTを5FUに併用はMKN45には作用を呈さなかったが,MKN45/F2RにおいてTS三量体は増加し,5FU耐性が減弱した.これらの結果から,MKN45/F2RはFdUMPを解毒する耐性機序を獲得しておりdUやdTはそれを阻害していると考えられた.TS特異的阻害薬であるRaltitrexedに,dUの併用は細胞障害性に影響を与えず,dTの併用は両株において細胞障害性がむしろ拮抗されることから,dUやdTの併用による耐性解除は5FU特有の減少と考えられた.FdUMPをNucleosideへ代謝するNT5C1Aとその反対向きを担うThymidine kinase 1(TK1)の発現をみると,MKN45/F2RでNT5C1Aの発現と比較してTK1の発現が著明に減少していた.【考察】耐性機序としてFdUMPのNucleosideへの代謝が示唆され,Nucleosideの併用はこれを阻害すると考えられた.NucleosideとNucleotideの変換はTK1とNucleotidaseのバランスで決定され,耐性株ではNucleotidase優位な状態と考えられた.臨床上,OPRT低発現やTS高発現では説明がつかない耐性が示唆され,今回の結果は耐性克服の一助となると考えられた.
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