演題

S-1による術後補助化学療法を施行したStageⅡ/Ⅲの胃癌患者におけるSPARC遺伝子の発現の臨床的意義

[演者] 鈴木 喜裕:1,2
[著者] 大島 貴:2, 吉原 和江:2, 坂巻 顕太郎:3, 高田 賢:1, 米山 克也:1, 吉川 貴己:4, 利野 靖:2, 今田 敏夫:5, 益田 宗孝:3
1:神奈川県立足柄上病院 外科, 2:横浜市立大学外科治療学, 3:横浜市立大学医学部臨床統計学, 4:神奈川県立がんセンター 消化器外科, 5:済生会横浜市南部病院 外科

背景と目的:Secreted protein acidic and rich in cysteine (以下SPARC)遺伝子は内皮細胞から分泌されるMatricellular蛋白質であり, 近年の研究で癌細胞における血管新生や細胞増殖や細胞遊走などに関与していることが報告されており, 胃癌においてもSPARC遺伝子の過剰発現が認められ病理学的因子との相関も報告されている. そこでわれわれは治癒切除後にS-1による術後補助化学療法を受けたStageⅡ/Ⅲの胃癌についてSPARC遺伝子の発現の有無, SPARC遺伝子の発現と臨床病理学的因子や予後との関係を検討した.
対象と方法:治癒切除後にS-1による術後補助化学療法を受けたStageⅡ/Ⅲの胃癌症例134例を対象とした. これらの手術検体から癌組織と近傍の正常組織を採取しSPARC遺伝子の発現レベルをreal-time RT-PCRで計測して検討した. 次にSPARC遺伝子の発現レベルと臨床病理組織学的因子との関係も検討した. 最後にSPARC遺伝子の発現レベルと予後との関係も検討し, また多変量解析にてSPARC遺伝子の発現レベルおよび臨床病理組織学的因子と予後との関係も検討した.
結果:SPARC遺伝子の発現レベルは正常組織に比べ癌組織で有意に高値を示した(p=0.0012). SPARC遺伝子の発現レベルと臨床病理組織学的因子との間に相関関係は認められなかった. 一方予後との関係では多変量解析でSPARC遺伝子の発現レベルのみが独立した予後予測因子であった(p<0.0001). 次にSPARC遺伝子の発現レベルと予後の関係であるが, StageⅡ/Ⅲ全体では高発現群が有意に予後不良であった(log-rank p=0.000006). またStageⅡ, StageⅢの個別でもともに高発現群が有意に予後不良であった(log-rank p=0.036, p=0.0000017).
まとめ:治癒切除後にS-1による術後補助化学療法を受けたStageⅡ/Ⅲの胃癌患者において, SPARC遺伝子の高発現は重要な独立した予後予測因子であり, またリスク層別化因子として有用となる可能性がある.
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