演題

スキルス胃癌細胞由来エキソソームが前転移ニッチ(pre-metastatic niche)形成に及ぼす影響

[演者] 奥野 倫久:1,2
[著者] 八代 正和:1,2, 三木 友一郎:1,2, 北山 紀州:1,2, 笠島 裕明:1,2, 中根 孝彦:3, 日野 雅之:3, 平川 弘聖:1, 大平 雅一:1
1:大阪市立大学大学院 腫瘍外科学, 2:大阪市立大学大学院 癌分子病態制御学, 3:大阪市立大学大学院 血液内科

【目的】スキルス胃癌は高頻度に腹膜転移し極めて予後不良である.我々は,スキルス胃癌細胞から産生される因子が腹膜を転移しやすい環境に変化させていることを報告してきた(Cancer 77:1668-75, 1996).最近,原発腫瘍細胞由来のエキソソームが転移先臓器に集積し転移しやすい環境である前転移ニッチ(pre-metastatic niche)を形成していることが示唆されている.そこで本研究は,スキルス胃癌細胞株由来のエキソソームが腹膜の前転移ニッチ(pre-metastatic niche)形成に関与しているかを明らかにするため,in vivoおよびin vitroにてエキソソームが腹膜中皮細胞や間質細胞に及ぼす影響を検討した.
【材料・方法】材料は,スキルス胃癌細胞株OCUM-2MD3,腹膜中皮細胞,骨髄より樹立した骨髄由来間葉系幹細胞(Bone marrow-derived stromal cells, BM-SCs)を用いた.OCUM-2MD3由来エキソソームをPKH26にて標識し,ヌードマウス尾静脈から単独投与あるいはBM-SCsとの混合投与を3週間行った後,マウス各臓器におけるOCUM-2MD3エキソソームやBM-SCsの分布を検討した.また,エキソソームの腹膜中皮細胞へ集積性や,エキソソームが中皮細胞の形態におよぼす影響を検討した.
【成績】スキルス胃癌細胞由来のエキソソームは,マウス腹膜や胃に集積した.BM-SCsは胃に集積していた.in vitroの検討では,スキルス胃癌細胞のエキソソームが腹膜中皮細胞内に取り込まれることが確認され,さらにエキソソーム添加により,敷石状の腹膜中皮細胞が紡錘形に形態変化することが観察された.
【結論】スキルス胃癌細胞株由来エキソソームが腹膜に集積し,中皮細胞の形態変化を促進することにより癌細胞の腹膜転移に適した前転移ニッチを形成していることが示唆された.
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