演題

免疫調節因子MZB1の胃癌進展への関与

[演者] 梅田 晋一:1
[著者] 神田 光郎:1, 田中 千恵:1, 山田 豪:1, 藤井 努:1, 中山 吾郎:1, 杉本 博行:1, 小池 聖彦:1, 藤原 道隆:1, 小寺 泰弘:1
1:名古屋大学大学院 消化器外科学

【背景】
進行胃癌は根治切除後も高頻度に再発をきたす.そのため,再発リスクや再発部位を予測することは患者管理において重要である.免疫応答や慢性炎症は,胃癌発癌や進展に関与することが報告されている.
【方法】
胃癌進展に関与する免疫関連因子を検出するため,同時性肝転移を有する症例の切除検体を対象に,網羅的発現解析を行った.抽出した候補分子について,胃癌細胞株および200例の胃切除症例から得た組織標本を用いて,発現解析および発現調節機序の検討を行った.胃癌細胞機能への影響を調べるため,siRNA法によるノックダウン前後の増殖能,浸潤能,遊走能を評価した.
【結果】
Transcriptome解析の結果,19種の免疫関連分子が転移性胃癌の原発巣で非癌部より有意に発現が抑制されていた.この中からmarginal zone B and B1 cell specific protein (MZB1) に焦点をあてて,解析を進めた.MZB1 mRNA発現レベルは胃癌細胞株の間で多様であり,その発現はestrogen receptor 1およびdesumoylating isopeptidase 1と有意な性の相関関係を示した.MZB1発現低下株では,MZB1プロモーター領域のメチル化を高頻度に認めた.MZB1のノックダウンにより,胃癌細胞の増殖能,浸潤能および遊走能が有意に増加した.臨床検体の解析では,原発巣でのMZB1発現抑制は切除後再発の独立予後不良因子であり,特に血行性転移と相関していた.
【結語】
免疫調節因子であるMZB1はメチル化によって調節される癌抑制遺伝子であり,切除後再発予測バイオマーカーとして有用であると考えられた.
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