演題

イベルメクチンはYAP1発現を抑制することで胃癌細胞の増殖を抑制する

[演者] 南原 翔:1
[著者] 増田 隆明:1, 吉川 宏幸:1, 胡 慶江:1, 木戸上 真也:1, 林 直樹:1, 黒田 陽介:1, 伊藤 修平:1, 江口 英利:1, 三森 功士:1
1:九州大学病院別府病院 外科

(背景)
YAP1はCTGF等の細胞増殖関連遺伝子の発現を誘導する転写因子であり,核内YAP1の過剰発現は胃癌患者の予後不良に関連している.我々はYAP1阻害剤として抗寄生虫薬のイベルメクチン (Ive)を同定した (PNAS, 2016).

(目的)
胃癌におけるIveのYAP1阻害を介した増殖抑制効果を検討する.

(方法)
1. Ive感受性・抵抗性胃癌細胞株の同定 (MKN1,MKN7,MKN28,MKN45,MKN74,SH-10-TC,NUGC3,NUGC4,AGS): MTT assay
2. Ive投与によるYAP1核内発現量の変化と下流遺伝子CTGF発現量の変化: Western blotting (WB)
3. YAP1発現によるIve感受性の変化 (YAP1 knockdown): WB
4. IveによるYAP1発現の変化: WB,RT-qPCR
5. 胃癌細胞株の核内YAP1蛋白とYAP1 mRNA発現の相関: WB, RT-qPCR
6. 胃癌臨床検体におけるYAP1 mRNA発現の臨床病理学的因子及び予後との関連 (当院101例,Kaplan-Meier Plotter公共データベース631例): RT-qPCR

(結果)
胃癌細胞株9種の内,IC50はMKN1で最低 (10.2µM),MKN7で最高であった(31.9µM).IveはMKN1の核内YAP1蛋白,CTGF蛋白発現を抑制した.YAP1 knockdownによりMKN1におけるIveの増殖抑制効果は減弱した(IC50(siYAP1/siNC)=1.4).IveはMKN1のYAP1 mRNA発現を抑制した (p<0.001).核内YAP1とYAP1 mRNA発現は有意に正相関した (p<0.05).当院の胃癌症例で,YAP1 mRNA高発現群 (66例)は有意に低分化 (p<0.01),MP以深 (p<0.05),脈管侵襲陽性 (p<0.05)症例が多く,予後不良であり (p<0.05),予後に関してはKaplan-Meier Plotterでも同様であった (p<0.0005).

(考察)
Iveは胃癌細胞においてYAP1 mRNA発現を減少させる事でYAP1蛋白の低下,核内YAP1蛋白減少を引き起こし,その結果増殖を抑制することが示唆された.IveはYAP1高発現の胃癌に対する新規治療薬となる可能性が示唆された.
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