演題

ARL4Cは胃癌患者の腹膜播種および予後不良に関与する

[演者] 江口 英利:1
[著者] 胡 慶江:1, 吉川 幸宏:1, 木戸上 真也:1, 南原 翔:1, 林 直樹:1, 黒田 陽介:1, 増田 隆明:1, 伊藤 修平:1, 三森 功士:1
1:九州大学病院別府病院 外科

【はじめに】腹膜播種は,胃癌において高頻度かつ治癒困難な転移形式である.本研究の目的は,胃癌において腹膜播種を担う遺伝子を同定する.【対象と方法】1)胃癌腹膜播種性細胞株で高発現かつ公的データベース(シンガポール)における胃癌腹膜播種症例で高発現2)公的データベース(TCGA)の胃癌症例において腫瘍で高発現,3)胃癌のTCGAで予後不良因子,以上の3つの条件より胃癌腹膜播種関連遺伝子を同定した. 次に,当院で手術を施行した146症例の胃癌組織におけるqRT-PCRによる候補遺伝子発現の臨床的意義を評価した. TCGAの胃癌のデータベースを用いたgene set enrichment assay (GSEA)にて機能を包括的に推察した.候補遺伝子ノックダウン胃癌細胞株を作成してinvasion assay,migration assay ,EMTマーカーのウエスタンブロットを行った.【結果】胃癌腹膜播種関連遺伝子としてADP-ribosylation factor-like 4c (ARL4C)を同定した.当院の胃癌切除症例においてARL4Cは正常部に比べて癌部において有意に発現が上昇していた(p=0.0001).またARL4C高発現群は有意に予後不良であった(p=0.0027).臨床病理学的因子の検討では,ARL4C高発現群は腹膜播種が有意に多かった(p<0.05).siRNAによるARL4C knockdown細胞株においてinvasionとmigrationが抑制され,GSEAにてARL4C発現は上皮間葉移行(EMT)と関連があり,ARL4C発現はEMT関連マーカーSLUGと正の相関を認めた.【結論】我々は胃癌腹膜播種の関連遺伝子としてARL4Cを同定し,ARL4C高発現は予後因子であった.ARL4Cの高発現はEMTとの関連が示唆され,新規治療標的としてだけでなく,強い予後マーカーであることが示唆された.
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