演題

胃癌切除症例における腫瘍浸潤CD15陽性細胞の臨床的意義 -予後および臨床病理学的因子との関連-

[演者] 渡邊 淳一郎:1
[著者] 木村 隆:1, 岡田 良:1, 石亀 輝英:1, 小船戸 康英:1, 佐藤 直哉:1, 見城 明:1, 志村 龍男:1, 河野 浩二:2, 丸橋 繁:1
1:福島県立医科大学医学部 肝胆膵・移植外科学講座, 2:福島県立医科大学医学部 消化管外科学講座

【目的】近年,腫瘍浸潤好中球(Tumor Infiltrating Neutrophil,以下TIN)の多寡が予後に関連するとの報告が多くなされているが,その機序は明らかにされていない.今回,我々は胃癌切除標本内のTINをCD15陽性細胞として測定し,予後および臨床病理学的因子との関連について検討した.【対象・方法】2009年1月~2011年12月に当科で胃切除術を施行した胃癌患者87名を対象とした.パラフィン包埋切片を抗CD15抗体で免疫染色し,400倍率で10視野中の陽性細胞数と予後(疾患特異的生存期間;DSS,無病生存率;DFS)および臨床病理学的因子との関連を統計学的に解析した.CD15陽性細胞のcut off値はROC曲線より18cells/視野とし,high level group≧18とlow level group<18の2群に分けた.予後はKaplan-Meier法にて解析し,各因子との関連はχ²検定でその相関を調べた.【結果】DFSは,有意にhigh level groupで不良であった(P=0.037).一方,DSSは2群間で有意差を認めなかった(P=0.485).臨床病理学的因子ではリンパ節転移の有無との相関が認められた(N因子;df=1,χ²=6.154,P=0.037).しかし,リンパ管侵襲の有無との相関は認めなかった(ly因子;df=1,χ²=3.475,P=0.062).その他,深達度(T因子;df=1,χ²=2.414,P=0.120),進行度(Stage;df=1,χ²=3.488,P=0.062),静脈侵襲の有無との相関も認めなかった(v因子;df=1,χ²=1.430,P=0.232).【考察】胃癌組織中のCD15陽性細胞の増加は術後の再発と有意に関連し,またCD15陽性細胞の多寡とリンパ節転移の有無の間には相関が見られた.これらより,CD15陽性細胞の増加がリンパ節転移に関連があり,さらに術後も含めリンパ節転移を促進している可能性が考えられた.しかし,リンパ管侵襲との相関は認められておらず,他にもリンパ節転移に関わる因子が存在することが示唆された.【結語】胃癌組織中のTINの増加は術後のリンパ節転移再発を促進する可能性がある.TINとリンパ節転移に関連する因子につきさらなる検討が必要である.
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