演題

胃癌におけるβ遮断薬の予後改善効果の検討

[演者] 和田 範子:1
[著者] 赤丸 祐介:1, 東口 公哉:1, 野々下 崇:1, 瀧内 大輔:1, 酒田 和也:1, 森本 修邦:1, 太田 博文:1, 柴田 邦隆:1
1:市立池田病院 消化器外科

【背景】早期診断や周術期治療の向上により胃癌の予後は向上しつつあるが,いまだ予後不良な疾患であり,更なる治療効果の改善が求められている.腫瘍においては,アドレナリンが腫瘍細胞内のβ2受容体を刺激することで,腫瘍の増大や転移を促進するとの報告があり,乳癌ではβ遮断薬の投与により予後が改善したとの報告もある.一方でAngiotensin Converting Enzyme(ACE)阻害薬やAngiotensin II Receptor Blocker(ARB)は腫瘍の増大を促す可能性があるとの報告もあるが,胃癌においてはこれらの薬剤と予後との関連についてはまだ報告されていない.
【対象・方法】2005年1月から2015年12月までに当院で R0またはR1切除を施行された胃癌546例を対象とした.術前にβ遮断薬を投与されていた群と非投与群との間で,臨床病理学的因子,無再発生存期間(RFS),全生存期間(OS)を比較し,β遮断薬の投与が独立した予後因子であるかどうかをCox回帰分析を用いて検討した.また,ACE阻害薬とARBについても,術前に投与されていた群と非投与群との間で予後をそれぞれ比較した.
【結果】β遮断薬を投与されていたのは31人(5.7%)であった.臨床病理学的因子については投与群と非投与群の間で明らかな偏りを認めなかったものの,RFSは投与群の方が良好な傾向にあり(5年RFS:85.3 vs. 69.3%, P=0.055),OSは投与群の方が有意に良好であった(5年OS:87.6 vs. 71.7%, P=0.046).予後との関連をCox多変量解析を用いて検討したところ,RFSにおけるβ遮断薬のハザード比は0.35(95%CI, 0.13-0.96),OSにおけるハザード比は0.30(95%CI, 0.095-0.94)であり,年齢,pStageとともにβ遮断薬は独立した予後因子であった.一方でACE阻害薬およびARBについては,投与群と非投与群との間でRFS,OSともに生存曲線はほぼ一致しており,予後に差を認めなかった.
【まとめ】β遮断薬の投与により,胃癌切除症例における予後が改善される可能性が示唆された.
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