演題

von Recklinghausen病に合併した十二指腸GISTと十二指腸乳頭NETと胆嚢神経鞘腫の一例

[演者] 大塚 裕之:1
[著者] 橋本 泰司:1, 横山 雄二郎:1, 坂下 吉弘:1, 小林 弘典:1, 迫田 拓弥:1, 木建 薫:1, 二宮 基樹:1, 嶋本 文雄:2, 宮本 勝也:1
1:広島記念病院 外科, 2:広島記念病院 病理診断科

【はじめに】von Recklinghausen病(VR病)は全身皮膚の神経線維腫,café-au-lait spotなど多彩な症状を伴う常染色体優性遺伝の疾患で,様々な腫瘍性疾患が合併することが知られている.我々は,VR病に十二指腸gastrointestinal stromal tumor (GIST),十二指腸乳頭神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor; NET)および胆嚢神経鞘腫の3つの腫瘍を合併した一例を経験したので報告する.
【症例】45歳,男性.黒色便を自覚.採血にてHb6.9g/dlと貧血を認めた.全身の皮膚に柔らかな大小不同の結節および皮膚色素斑を認めた.上部消化管内視鏡検査では十二指腸水平脚にdelleを伴う易出血性の粘膜下腫瘍を認めた.造影CT検査では十二指腸水平脚に類円形の境界明瞭な28×26mmの腫瘤を認め,さらに口側に8mm程度の造影される腫瘤影を認めた.また,胆嚢頸部にも腫瘤影を認めた.出血のため組織診断は行わず,十二指腸GISTまたは膵神経内分泌腫瘍の術前診断で手術を施行した.腫瘍は十二指腸水平脚に存在し,部分切除は困難と判断し幽門輪膵頭十二指腸切除術を施行した.十二指腸粘膜下腫瘍はc-kit陽性,腫瘍径29×28mm,核分裂像数は4/50HPFであり十二指腸GIST T2,N0,M0 StageⅠ,modified Fletcher分類にてlow grade riskと診断した.十二指腸乳頭腫瘍はNET T1a,N0,M0 StageⅠAと診断,また胆嚢頸部腫瘍はS100陽性で神経鞘腫と診断した.術後補助療法は行わず術後3カ月,無再発生存中である.
【考察】VR病に合併する腫瘍性疾患の中では褐色細胞腫や神経鞘腫など神経堤由来のものが多いが,約7%にGISTが合併するとされている.また十二指腸乳頭NETの26%はVR病に合併したものと報告されているが,VR病に十二指腸GIST,十二指腸乳頭NET,神経鞘腫の3病変を合併した報告はなく極めてまれな症例と考えられた.
【結語】VR病は腫瘍性病変が多発することがあり,腫瘍を認めた場合は他に腫瘍が併存することも念頭に診断,治療を進めていくことが重要である.また十二指腸乳頭,膵臓との位置関係から部分切除が困難なことがあり正確な術前検査と発育形式に応じた術式選択が必要である.
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