演題

Liquid biopsyを用いた大腸癌肝転移に対する治療戦略

[演者] 山田 岳史:1
[著者] 高橋 吾郎:1, 岩井 拓磨:1, 武田 幸樹:1, 小泉 岐博:1, 進士 誠一:1, 松田 明久:2, 横山 康行:1, 原 敬介:1, 内田 英二:1
1:日本医科大学付属病院 消化器外科, 2:日本医科大学千葉北総病院 外科

【緒言】これまでに他臓器転移を有する大腸癌患者125人,のべ700検体以上の循環DNA(circulating cell free DNA; ccfDNA)と循環腫瘍細胞(circulating tumor cell: CTC)を解析した.その成果からLiquid biopsy (LB)を用いた大腸癌転移症例に対する新たな治療戦略を提案する.
【原発巣KRAS野生型】(1) 転移を有する原発巣KRAS野生型の約10%でLBから変異型KRASが検出される.(2) LBのKRAS, BRAFが野生型であればearly tumor shrinkage (ETS)が得られる.(3)抗EGFR抗体の2次耐性を獲得する前に,LBで80%の症例からKRAS変異が,40%からBRAF変異が検出される.(治療方針)治療開始前のLBでKRASまたはBRAFに変異があれば抗EGFR抗体は投与しない.抗EGFR抗体投与開始後は定期的にLBでKRASおよびBRAFを検査し,変異を認めれば抗EGFR抗体の投与を中止する.
【原発巣KRAS変異型】(1)転移を有する原発巣KRAS変異型の約90%の症例でLBにてKRAS変異を同定可能.(2)CEA陰性症例の約半数はLBでKRAS変異同定可能.(3)LBでKRAS変異(-)症例ではPFSが長く,変異型コピー数の比率が10%を超える症例のPFSは短い.(4) 化学療法開始1ヶ月後のccfDNAの変異型KRASコピー数が減少した症例ではETSが得られる.(5) 化学療法中に変異型KRAS変異コピー数が増加した場合はその後の画像診断でPDとなる.(治療方針)ccfDNAのKRASコピー数を腫瘍マーカーとして利用する.KRAS変異コピー数が少ない症例はPFSが長く,メインテナンス療法のよい適応である.変異コピー数が多い症例では急激に増悪する可能性があり,強力な化学療法を選択すべきである.変異コピー数が増加した数ヶ月後にはPDとなるため薬剤変更を考慮する.
【肝切除】肝切除後1ヶ月のccfDNAでLINE-1(297bp)/β-globin比(LBR)が術前より増加した症例は1年以内に早期再発する可能性が高く(感度89%,特異度92%),Relapse free survivalが有意に短い(p<0.001)ため,術後補助化学療法を行う.術後にccfDNAの変異型KRASが消失しても早期に再発する症例がありLBRの方が有用性が高い.
【ccfDNAとCTC】現時点ではccfDNAの方が感度は高いが,次世代型検出器を用いるとこれまでの10倍以上のCTCが採取可能であり,ccfDNAとCTCの両者を併用することにより,より鋭敏に変異を検出できる可能性がある.化学療法中に原発巣からは検出されない新たな変異(Emerging mutation: EM)が検出される.EMは新たな分子標的となる可能性がある.
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