演題

当院にて手術を施行したGIST17例の検討~リンパ節転移陽性であった2例を中心に~

[演者] 早川 俊輔:1
[著者] 三井 章:1, 鎗山 憲人:1, 上田 悟郎:1, 渡部 かをり:1, 高須 惟人:1, 杉浦 弘典:1, 桒原 義之:1
1:名古屋市立西部医療センター 外科

2011年5月の開院以来,2016年11月までの5年6か月間に当院にて手術を施行した17症例のGastrointestinal stromal tumor(以下GIST)について検討を行った.平均年齢66歳,男女比11:6,平均BMI22.9,ASA1/2が10/7であった.原発臓器はそれぞれ胃/十二指腸/小腸:13/1/3であり,手術術式は胃部分切除4例(うち腹腔鏡2例),幽門側胃切除3例,噴門側胃切除3例,小腸切除3例(うち腹腔鏡1例),胃膵体尾部切除2例,十二指腸部分切除1例,試験開腹1例であった.平均術後在院日数は19日,手術合併症は食道胃吻合部縫合不全1例(吻合部狭窄も続発),腹壁瘢痕ヘルニア1例であった.術前に他臓器転移を認めた症例は2例認め,うち1例には術前イマチニブが投与されていた.平均腫瘍径は61㎜で,Fletcher risk分類では超低/低/中/高リスクが2/4/4/7であった.3例(術前より転移陽性2例,切除不能1例)に対して術後イマチニブの投与を施行した.リンパ節郭清を伴う手術を施行した症例は9例(全症例胃原発)であり,そのうち2例でリンパ節転移陽性であった.転移陽性であった2症例はいずれも胃原発の高リスク症例であった(1例は術前転移陽性).全症例の観察期間の中央値は25カ月であり(他病死2例のみ),新たな再発症例は認めていない.
GIST診療ガイドラインによればGISTのリンパ節転移は非常に稀で,予防的あるいは系統的リンパ節郭清は不要であり,転移リンパ節のpick-up郭清で十分とされている.しかし,この根拠となっている文献はGISTの病理学的診断が確立する以前のものであり,十分な検討がなされているとはいい難い.当科の検討では,17例中2例(12%)でリンパ節転移を認めた,高リスク症例に限れば7例中2例(29%)が転移陽性であった.うち1例は術後イマチニブにて現在完全寛解中であり,もう1例は無再発生存中である.
リンパ節転移陽性のGIST症例は予後不良であるとの報告もあり,イマチニブが術後補助化学療法に使用され,現状においてはリンパ節郭清施行の臨床的意義についてさらに症例を集積して再検討する余地があると考えられる.
近年では腹腔鏡・内視鏡合同局所切除などGISTに対して低侵襲かつ切除範囲を限定した手技が中心である.しかし,術前に十分なリスク評価を行った上で,リンパ節転移の可能性も念頭におき,状況に応じて系統的リンパ節郭清も含めた過不足のない術式を選択することが重要であると考えられた.
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