演題

当院における胃粘膜下腫瘍に対するInverted LECSの治療成績

[演者] 津田 康雄:1
[著者] 井田 智:1, 比企 直樹:1, 熊谷 厚志:1, 大橋 学:1, 布部 創也:1, 佐野 武:1, 山口 俊晴:1
1:がん研究会有明病院 消化器外科

【背景】
当院では2006年より5cm以下のDelleを有さない胃粘膜下腫瘍に対して腹腔鏡・内視鏡合同手術(Classical LECS)を行ってきた.またESD施行時に病変周囲に支持糸をおき胃壁をつりあげ,胃液を腹腔内に漏らさないようにする,また病変が腹腔内に露出しないようにする手技(Inverted LECS)を開発し,Delleを有する粘膜下腫瘍への適応拡大を行ってきた.しかし,Inverted LECSの短期・長期的な安全性に関する報告はまだない.
【目的】
胃粘膜下腫瘍に対するInverted LECSの治療成績を提示しその安全性を検証する.
【対象・方法】
2006年6月から2015年12月までに当院で胃粘膜下腫瘍に対してLECSを施行した125例.Classical LECS:C-LECS,Inverted LECS:I-LECSに分け,臨床病理学的因子,術後短期成績:術後経口摂取までの期間,術後在院日数,術後合併症(Clavien-Dindo Grade II以上),長期予後(再発の有無)について比較した.
【結果】
全125例中,C-LECSは83例,I-LECSは42例であった.患者背景には両群間に差は認めなかった.摘出腫瘍長径(mean±SE)はC-LECS/I-LECS:30.2±1.2mm / 32.5±1.7mm(p=0.29)で差を認めなかった.手術時間(中央値(範囲))はC-LECS/I-LECS:176(60-297)min / 196(115-359)min(p<0.001),出血量(中央値(範囲)) C-LECS/I-LECS:5(0-100)ml / 5(0-280)mlで手術時間はI-LECSが長い傾向にあるものの,出血量は差を認めなかった.
術後経口摂取開始までの期間(mean±SE)はC-LECS/I-LECS:1.5±0.1日/1.1±0.1日(p=0.003),平均在院日数(mean±SE)はC-LECS/I-LECS:9.0±1.0日/7.1±1.4日(p=0.28)であった.周術期合併症としては,縫合不全が1例,胃排泄遅延が2例いずれもC-LECSで認められた.I-LECS群では合併症は認めなかった.両群ともに現在まで術後再発症例は1例も認めていない.(平均観察期間C-LECS/I-LECS:1172日/346日)
【考察】
I-LECSは,ESD施行時に支持糸による胃壁の固定操作が必要なため,手術時間は長くなるものの,出血量に差は認めず,術後短期成績も良好であった.さらに現在まで再発を認めず,腫瘍学的にも安全な術式である可能性がある.今後も症例蓄積と長期の患者観察を行い,粘膜病変を有する粘膜下腫瘍に対するLECSの腫瘍学的な安全性をさらに検討する.
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