演題

巨大胃平滑筋肉腫の1切除例

[演者] 尾島 英介:1
[著者] 中野 達夫:1, 宮永 章平:1, 道輪 良男:1
1:浅ノ川総合病院 外科

【はじめに】胃平滑筋肉腫は比較的稀な疾患であり,胃原発悪性腫瘍の0.1%~1.3%を占めるに過ぎず,まとまった症例数の検討は数編の文献報告が散見されるだけである.占拠部位に関しては胃体中部より上部にかけての報告が多く,幽門前庭部に発生する症例は少ないとされている.今回我々は最大径18cmの巨大な腫瘤を形成した,胃幽門部の平滑筋肉腫の1切除例を経験したので報告する.【症例】70歳台の女性.臍周囲の痛みや腹部膨満感,全身倦怠感などを主訴に当院を受診した.上部消化管内視鏡,腹部超音波やCT,PET-CT検査などにて,胃幽門部の胃壁から壁外性に発育する長径15cmを越える大きな腫瘤性病変が認められた.Gastrointestinal Stromal Tumorを含む間葉系由来の悪性腫瘍の可能性も示唆される胃粘膜下腫瘍と診断し,開腹下に手術を行った.腫瘍は腹壁や横行結腸などの周囲組織と強く癒着していたが剥離され,明らかな腹膜播種も認めず,幽門側胃切除術を併施することで腫瘍を全切除することが可能であった.切除標本における病理学的検索において腫瘍は長径18cm,重さは1.1kgの胃壁由来の巨大腫瘍を呈し内部には広範囲に出血凝固壊死像を認めた.非壊死部の組織像は異型に富むspindle cellの強い増殖からなり,免疫染色上c-kit,CD34陰性でα-SMAのみ強陽性を示し,胃平滑筋肉腫と診断された.リンパ節転移は認められなかったが,Ki-67の染色陽性率は37%であり高い悪性度を持つ病変であることが示唆された.術後の経過は良好であり,現在当科外来通院にて経過観察中である.【結語】主に壁外性に進展し,切除時の長径が18cmの巨大な胃幽門部平滑筋肉腫に対して根治的切除を行った症例を経験したので報告した.今症例はKi-67に対する免疫染色上,悪性度が高い病変であると考えられ今後も厳重な経過観察が必要であると思われる.
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