演題

当院における胃GIST切除症例の検討

[演者] 奥田 俊之:1
[著者] 宮永 太門:1, 島田 麻里:1, 加藤 嘉一郎:1, 平沼 知加志:1, 前田 一也:1, 道傳 研司:1, 服部 昌和:1, 橋爪 泰夫:1, 海崎 泰治:2
1:福井県立病院 外科・がん医療センター, 2:福井県立病院 病理診断科

【対象と目的】2007年1月から2016年12月までの10年間に, 当院にて胃GISTと診断された切除症例, 39例について検討を行った. 【結果】全39例のうち, 術前診断のうえ計画的に切除されたのは30例で, 残る9例のうち3例は胃癌に対する胃切除術中に診断切除され, 6例は胃切除術後の切除標本内に偶然に診断された. 偶然に診断されたもののほとんどが壁内発育型で平均腫瘍最大径は5.3mmであった. 計画的に切除された30例のうち3例は胃癌に合併しており同時切除がなされた. 胃癌との同時切除例を除いた27例のうち3例に開腹幽門側胃切除が行われた. 残る24例には部分切除が行われており, これらの症例ついてさらに検討を行った. 術式は5例に開腹部分切除(開腹), 14例に腹腔鏡下部分切除(腹腔鏡), 5例に腹腔鏡・内視鏡合同手術(LECS)が行われた. 腫瘍の局在は開腹, LECSともに小弯に多かったが, 腹腔鏡は大弯に多かった. 腫瘍の発育形式についてはLECSにおいて壁内発育型が多く, 腹腔鏡で壁外発育型が多かった. 平均腫瘍最大径は開腹で67mm, 腹腔鏡で30mm, LECSで28mmと開腹で有意に大きかった. 腫瘍最大径の2乗を切除胃壁面積で除した値を胃壁損失率として, 胃壁の損失を推測してみたところ, その平均値は術式別では開腹で0.92, 腹腔鏡で0.81, LECSで0.62であり, 術式による差は認めなかった. 一方で発育形式別では壁内発育型で0.46, 壁外発育型で1.16, 壁内外発育型で0.67であり, 胃壁損失率は腫瘍の発育形式に大きく依存していた. 切除後の胃壁閉鎖法はLECSで全例縫合, 腹腔鏡で全例自動縫合器, 開腹ではどちらも使用していた. 術後合併症はLECSの1例で胃排出障害を認めたが, 投薬により改善を認めた. 【考察と結語】当科で切除した胃GISTはその腫瘍径, 局在, 発育形式等により術式が選択されていた. 壁内発育型に有利とされるLECSであるが, 今回の検討では胃壁損失率についてLECSと腹腔鏡で差を認めなかった. 胃壁の損失が少ない大弯の壁外発育型に対して腹腔鏡を選択することが多く, 我々の症例数ではこれら術式による比較は困難であった. 今後, 症例数の蓄積とともにさらなる検討が必要と思われた.
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