演題

閉塞性大腸癌に対する自己拡張型金属ステントの有用性について

[演者] 権 英寿:1
[著者] 野木 雄也:1, 有馬 純:1, 岡本 大輝:1, 藤川 正隆:1, 裏川 直樹:1, 武部 敦志:1, 新関 亮:1, 田中 賢一:1
1:済生会中津病院 外科

目的:閉塞性大腸癌に対する自己拡張型ステント留置(以下SEMSと略記)は,術前減圧効果,QOLの点から,その有用性が報告されている.当施設では2016年2月より閉塞性大腸癌症例に対してSEMSを導入しており,その有用性についてイレウスチューブ留置(以下ITと略記)との比較にて検討した.方法:2014年2月から2016年10月までの間,当施設での大腸癌イレウス症例は44例であった.これらの内訳は,SEMS留置12例,IT留置14例,緊急手術7例,絶食管理のみでの準緊急手術例11例であった.この内,SEMS,IT両群における背景因子と周術期経過について検討した.結果:平均年齢はSEMS群68歳,IT群70歳であり,2群間で患者背景に有意差はなかった(P=0.63).最終病期についても2群間で有意差はなかった.手術方法は26例すべてに腹腔鏡手術を適応したが,SEMS群において2例,IT群において1例の開腹移行があり,それぞれの腹腔鏡手術完遂率は83%,92%であったが,今回の検討では有意差は見られなかった(P=0.48).なお,開腹移行の理由としては,いずれも巨大な腫瘍による腹腔鏡下での操作性制限によるものであり,減圧不良は見られなかった.手術時間はSEMS群260分,IT群306分(P=0.07)であり,SEMS群でより短時間である傾向が見られた.両群間で合併症発症率を検討したところ,SEMS群においては合併症を認めず,IT群では2例(14%)であった.今回の検討では有意差は見られなかったが(P=0.10),IT群において1例,Clavien-Dindo分類でのGradeⅢ以上に相当する縫合不全を認めた.術後在院期間は,SEMS群が平均14.9日,IT群が平均13.7日と有意差は認めなかった(P=0.72).Bridge to surgery期間については,SEMS群22.3日,IT群8.6日と,SEMS群で有意に長期であったが(P<0.05),閉塞性腸炎の影響と思われる腫瘍口側の腸管拡張,壁肥厚は,SEMS群で全例改善を認めたのに対して,IT群は1例のみであった(P<0.05).結語:SEMS群は減圧効果が高く,腹腔鏡手術が良好な術野でより短時間に,安全に行える可能性が示唆された.吻合腸管の状態も良く,縫合不全を含めた術後合併症の軽減も期待できると思われた.
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