演題

大腸癌イレウスに対する自己拡張型金属ステント挿入例の検討

[演者] 菅野 博隆:1
[著者] 橋本 敏夫:1, 佐藤 佳宏:1, 芳賀 淳一郎:1
1:米沢市立病院 外科

【目的】大腸癌イレウスに対して,従来は緊急手術による人工肛門造設や経肛門的イレウスチューブによる減圧後の手術が施行されたきたが,2012年1月よりself-expandable metalic stent(SEMS)が保険適応となり,SEMS使用による術前減圧症例が増加している.今回当施設における大腸癌イレウスに対するSEMS挿入術前減圧例を検討した.【方法】2012年1月より2016年11月まで当科で施行された左側進行大腸癌手術(T3以深で腹会陰式直腸切断術,同時肝切除例,重複癌を除く)71例のうち大腸癌イレウスに対するSEMSによる術前減圧17例と通常の待機手術をした非イレウス54例の2群に分け各群の背景因子や周術期因子等を比較検討した.【結果】①背景因子;平均年齢,診断名,長軸径,最終病期(Stage)は2群間で差を認めなかった .SEMSによる合併症は認めなかった.②手術因子;施行術式,根治度,腹腔鏡補助下手術施行率に差はなく,一期的吻合率はSEMS群:非イレウス群=76.5%:85.2%とややSEMS群で低い傾向にあった.③周術期因子;SEMS群のbridge to surgeryは26.3日とやや長期となり術前入院期間はSEMS群で有意に長期となったが,術後在院期間は2群間で差を認め無かった.また縫合不全発症率はSEMS群:非イレウス群=9.1%:3.7%とやや前者で高かったがその他の合併症発症率,手術関連死亡率に差を認めなかった.【結論】SEMSによる術前減圧は,術前待機期間の延長という欠点も認めるものの,一次退院し手術に待機することも可能であり,その減圧効果の高さから人工肛門造設術を可及的に回避でき,非イレウス例と同様の腹腔鏡補助下術式や術後在院期間,手術成績を示した.SEMSは安全確実でチューブフリーの減圧が可能で早期に食事摂取が可能となり,人工肛門造設術を減少させ,患者の侵襲低下やQOLに向上に貢献できる有用な治療法であると思われた.
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