演題

閉塞性大腸癌に対する大腸ステントを用いた腸管減圧の適応と有用性

[演者] 坂本 悠樹:1
[著者] 坂田 和也:1, 外山 栄一郎:1, 髙田 登:1, 吉仲 一郎:1, 原田 和則:1
1:天草地域医療センター 外科

【背景・目的】2012年3月に大腸狭窄に対する金属ステントの挿入が保険適用となって以降,大腸ステントは有効な腸管減圧法として注目されている.当科では閉塞性大腸癌に対する大腸ステントによる腸管減圧後に,一期的腹腔鏡手術を行っている.閉塞性大腸癌に対して大腸ステントによる腸管減圧を行い,手術を施行した10例について検討を行った.【対象・方法】2014年6月から2016年11月に閉塞性大腸癌に対して大腸ステントによる腸管減圧後に手術を施行した10例を対象とした.腫瘍の局在は,上行結腸が3例,横行結腸が1例,下行結腸が2例,S状結腸が4例であった.【結果】閉塞性大腸癌に対して大腸ステントによる腸管減圧後に手術を施行した10例のうち,横行結腸癌の胃浸潤を認めた症例を除いた9例に腹腔鏡下結腸切除術を施行した.男性7例,女性3例,年齢の平均は75.1歳.術前化学療法を行った症例が2例であった.大腸ステント留置後に化学療法を施行した症例においても,再狭窄や穿孔等の有害事象は認めなかった.術前化学療法を行った症例を除きステント留置後2週間以内に手術を施行し,手術時間の平均は4時間23分,出血量の平均は187 mlであった.術後合併症は,直腸癌との重複癌に対して低位前方切除を要した1例に縫合不全を認めた.いずれの症例においても人工肛門造設は要さなかった.また大腸ステント挿入に際しても特記すべき合併症は認めなかった.【考察】大腸ステントの挿入成功率は92%と高率であり,穿孔率4%,死亡率は0.5%と報告されている.当科においては,挿入成功率は100%であり,消化管穿孔は認めなかった.経肛門イレウス管と比し,右側大腸癌の減圧が可能である点,挿入中の管理の簡便性,患者のQOLの点から大腸ステント留置は有用である.大腸ステント導入当初は屈曲部の狭窄に対しては経肛門イレウス管による腸管減圧を行っていたが,18 mmの細径大腸ステント登場以降,S状結腸癌による閉塞性イレウスに対しても大腸ステントによる腸管減圧を行っている.【結語】大腸ステントは,緊急手術・人工肛門造設を回避でき,経肛門イレウス管挿入と比較しても患者QOLの点で閉塞性大腸癌の優れた治療オプションである.
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