演題

大腸癌肝転移に対する複数回肝切除の短期および長期成績

[演者] 伊藤 貴明:1
[著者] 杉浦 禎一:1, 岡村 行泰:1, 山本 有祐:1, 蘆田 良:1, 絹笠 祐介:2, 坂東 悦郎:2, 寺島 雅典:2, 上坂 克彦:1
1:静岡県立静岡がんセンター 肝・胆・膵外科, 2:静岡県立静岡がんセンター 消化器外科

(目的)
大腸癌肝転移切除後の残肝再発に対して複数回の肝切除が行われている.複数回肝切除では手術の安全性と長期成績が問題となる.当院の複数回肝切除の成績を検討した.
(対象と方法)
2002年から2014年の間に初回から当院で手術をした大腸癌肝転移の432例に対して516肝切除を行った(単回肝切除361例,複数回肝切除:71例).複数回肝切除例の内訳は2回が60例,3回が10例,5回が1例であった.全症例の初回肝切除時と複数回肝切除例の2回目以降肝切除の背景及び手術成績について比較検討した.単回肝切除患者群と複数回肝切除患者群の生存成績,および,肝切除回数別の無再発生存期間を比較検討した.
(結果)
初回432肝切除と2回目以降84肝切除の背景を比較すると,2回目以降肝切除群において,有意に片肝分布が多く(p<0.001),腫瘍個数が少なく(p<0.001),腫瘍径が小さく(p=0.002),部分切除の術式が多かった(p<0.001).両群で術後死亡例はなく,合併症率(34% vs 29%, p=0.402)および内容に有意差を認めなかった.
初回手術時を起点とした複数回肝切除群(71例)の5年生存率は79%で,は単回肝切除群(361例)の58%と比べ有意に良好な生存成績であった(p=0.012).各回肝切除を起点とした5年無再発生存率は,初回:30%,2回目:33%,3回目:36%であり,それぞれの間に有意差を認めなかった.
(結論)
腫瘍個数,腫瘍分布,腫瘍径,必要な肝切除術式の点から,2回目以降肝切除は限られた患者に対して行われていた.術後死亡例はなく,これらの患者に対して2回目以降肝切除は安全に施行できると考えられた.
2回目以降の各回肝切除から再発までの期間には差がなく,複数回肝切除ではその生存期間の上乗せにより,複数回肝切除の患者で有意に良好な成績が得られた.
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