演題

当院における大腸悪性狭窄に対する大腸ステント留置症例の検討

[演者] 平野 敦史:1
[著者] 小杉 千弘:1, 栃木 透:1, 佐塚 哲太郎:1, 森 幹人:1, 松尾 憲一:1, 首藤 潔彦:1, 宮澤 幸正:1, 幸田 圭史:1
1:帝京大学ちば総合医療センター 外科

【はじめに】閉塞性大腸癌は大腸癌の3.1%~15.8%を占め,緊急手術になった場合に死亡率や合併症率は高く,待機的手術よりも予後不良とされている.当院では,大腸悪性狭窄に対してこれまで経鼻イレウス管や経肛門イレウス管を挿入し減圧後,根治切除不能な症例に対しては,バイパス手術や人工肛門造設術などの緩和治療を施行し,根治切除可能な症例に対しては,一期的に根治手術を施行していた.【目的】当院における大腸悪性狭窄に対するSEMS(self-expandable metallic stent)施行症例を検討し,その有効性と安全性を評価する.【対象】2012年1月から2016年12月までに大腸ステントを留置した36症例.【結果】男性23例,女性13例.年齢の中央値は70歳(24-87歳).病変部位は,上行結腸5例,横行結腸4例,下行結腸1例,S状結腸12例,直腸S状部9例,直腸5例.この内,閉塞性大腸癌に対するステント留置後の待機手術(Bridge to surgery)として留置した症例は28例であったが,留置後の手術拒否や他病死例があり,計26例に手術を施行した.手術待機期間中央値は23日(7-119)で,ステント留置関連合併症は4例(14%)に認めた.内訳はガイドワイヤーによる穿孔が1例(3%),便による腸閉塞を2例(7%),残りの1例(3%)は,初回ステントの留置位置が狭窄部を十分にカバーしきれなかったため,stent in stentを施行し狭窄は改善した.全例根治手術前には閉塞症状は改善し,一期的吻合が可能であった.術後合併症は,縫合不全を1例(4%),腸閉塞を3例(12%),偽膜性腸炎を1例(4%)に認めたが,いずれも保存的治療にて軽快した.また,根治切除不能な症例に対する緩和治療目的として留置した症例は8例.観察期間中央値は74日(1-182).ステント留置関連合併症は3例(38%)に認めた.内訳は,ステント留置直後からの敗血症が1例(13%),残り2例は,ステントの逸脱が1例(13%)と化学療法施行中の遅発性の穿孔が1例(13%)であった.いずれの症例も準緊急手術にて術後合併症を認めず経過した.【結語】大腸悪性狭窄に対して,bridge to surgeryとしてのSEMS留置は,従来のイレウス管留置症例と同様に一期的吻合による根治手術が可能であった.しかし,ステント留置関連合併症も多数経験した.大腸ステント留置は,比較的安全に施行可能であるが,留置後も注意深い経過観察で必要であり,合併症発症時は迅速かつ適切な治療が必要と思われた.
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