演題

右結腸静脈および膵枝の解剖学的特徴について:腹腔鏡下右側結腸切除術におけるランドマークとなり得るか?

[演者] 大澤 高陽:1
[著者] 小松 俊一郎:1, 石黒 成治:1, 宮地 正彦:1, 有川 卓:1, 斉藤 卓也:1, 駒屋 憲一:1, 松村 卓樹:1, 倉橋 真太郎:1, 佐野 力:1
1:愛知医科大学病院 消化器外科

【背景】
安全に右側結腸切除術+D3郭清を行うためには,上腸間膜静脈系の解剖の理解が不可欠である.同領域の静脈解剖について多数の研究があるものの,胃結腸静脈幹(GCT)の構成パターンに主眼が置かれ,その構成要素と合流形態は複雑で変化に富むといった見解に留まっている.腹腔鏡下右側結腸切除は定型化されつつあるが,主要血管に到達するまでのランドマークに関する研究は少なく,また,結腸静脈と膵枝との関連を述べた報告はまれである.

【目的】
右結腸静脈(RCV)とそれに関連する膵枝に着目して右側結腸の静脈解剖を見直し,それらの特徴的な走行形態に恒常性があるかどうかを検討する.

【方法】
2016年1月4日~1月7日に連続して撮影された腹部造影CT125例を解析対象とした.
上行結腸から還流するRCV,肝弯曲部から還流する副右結腸静脈(ARCV),中結腸静脈(MCV),右胃大網静脈(RGEV),膵十二指腸からの還流静脈(PDV,RGEVへの合流が確認できたものをASPDV)を各々同定した.以下のようにRCVを分類した.type I:膵十二指腸前面に隣接して横走しSMVに合流するもの,type II:膵から離れその尾側を走行し単独でSMVに合流するもの,type III :SMV以外の静脈に合流するもの.

【結果】
胃切除後,膵頭十二指腸切除後,結腸右半切除後等の不適格症例25例を除外し,100例で検討を行った.
各静脈の同定数はRCV88例,PDV82例,ARCV76例,ASPDV19例,RGEV99例,MCV90例であった.同定できたRCVのうち,type Iに相当するものを74例(84.1%)に認めた.type IIは8例(9.1%),type IIIは6例(6.8%)であった.またType IのRCVは全例で何らかの分枝と共通幹を形成しており,PDVが流入する症例は51例(68.9%)であった.Type IのRCVがSMVに合流する角度は,中央値180°(117-216)であり,135°-225°の間に合流する症例は70例(94.6%)であった.

【結論】
RCVは高率に膵十二指腸前面に隣接して横走し共通幹を形成してSMV右側から合流する.また約7割の症例でPDVと共通幹を形成しており,これらの解剖学的特徴は,腹腔鏡下右側結腸切除の内側アプローチの際に有用なランドマークとなり得ると考えられた.
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