演題

大腸がん検診(便潜血)陽性者に対する精密検査としてのCTコロノグラフィーの費用対効果

[演者] 石黒 めぐみ:1
[著者] 白岩 健:2, 柴原 秀俊:3, 岡 志郎:4, 田中 信治:4
1:東京医科歯科大学大学院 応用腫瘍学講座, 2:国立保健医療科学院 医療・福祉サービス研究部, 3:クレコンメディカルアセスメント株式会社, 4:広島大学病院 内視鏡診療科

【背景】大腸がん検診は,一次検診(便潜血検査)の受診率の低さが取りざたされることが多いが,大腸内視鏡検査に対する恥ずかしさや負担感の大きさ等の理由から,二次検診(精検)受診率が低いことも大きな課題である.CTコロノグラフィー(CTC)は患者の負担感が少ない新たな大腸検査のmodalityとして,近年普及が進んでいる.
【目的】通常の大腸内視鏡検査に替えて,CTCを大腸がん検診の精検に導入した場合の有用性を,費用対効果の面から検討した.
【方法】精検対象者を母集団とし,精検受診の有無~診断に至る判断樹モデルを作成した.以降の経過は,がんの有無やStage別の標準的な治療経過を仮定し,マルコフモデルによる長期シミュレーションを行った.がん発見時のStage内訳や再発率・5年生存率は地域がん登録及び大腸癌研究会のデータを,一般死亡率は平成26年簡易生命表を利用した.費用は平成26年度診療報酬点数表をもとに算出した.評価指標としてがん発見時のStage別症例数,総費用(診断+治療+サーベイランス),増分費用効果比(Cost per Life year)を算出した.割引率は効果・費用とも2%とした.分析視点は医療費支払者の立場とした.
【結果】現在(平成25年地域保健・健康増進事業報告)の通常内視鏡による精検受診率64.5%が,modalityをCTCに替えることで85%に上昇したと仮定した場合,ポリープ切除等により大腸がん診断数が309人(精検対象者10万人あたり)減少し,有病者の中ではStage 0~1が占める割合が増加した.そのため,精検費用は通常内視鏡に比しCTCが高いが(15,500円 vs 20,900円),診断後の治療費用はCTCで安価となり,精検対象者1人あたりの総費用はCTCで15,926円安かった.検診後に得られるLife yearはCTCでわずかに大きく(21.5年vs 21.6年),CTCの費用対効果は通常内視鏡に比し優位であった.感度分析では,CTCによる精検受診率が70%以上あれば,費用対効果はCTCで優位となった.
【結語】CTCの導入で精検受診率が向上すれば,大腸がんの早期発見および医療費の削減に寄与できる可能性が示唆された.
詳細検索