演題

急性虫垂炎に対する腹腔鏡下手術の導入期における腹腔鏡下手術と従来法との比較検討

[演者] 上村 紀雄:1
[著者] 宮成 信友:1, 伊東山 瑠美:1, 杉原 栄孝:1, 志垣 博信:1, 岩上 志朗:1, 水元 孝郎:1, 久保田 竜生:1, 芳賀 克夫:1, 馬場 秀夫:2
1:熊本医療センター 外科, 2:熊本大学大学院 消化器外科学

【はじめに】急性虫垂炎に対し,腹腔鏡下手術(LA:laparoscopic appendectmy)を取り入れている施設が増加している.当科でも,2014年より急性虫垂炎に対して腹腔鏡下手術を導入し,年々その件数を増やし,現在ではほぼ全例腹腔鏡下手術を行っている.従来の小開腹手術(OA:open appendectomy)とLAにおける術後入院日数や合併症について比較検討し,LAの有用性及び,当科における急性虫垂炎に対する治療方針について報告する.【対象と方法】対象は2014年1月~2016年3月に当科にて急性虫垂炎の診断後に24時間以内に緊急手術を施行した133例を後ろ向きに解析した.内訳はLA群 55例,OA群 78例でであった.両群間における術後合併症・術後在院日数・手術時間・出血量・血液生化学検査・BMI・穿孔症例に対して比較検討を行なった【結果】患者背景はLA群は男性23例(42%)女性32(58%)例,OA群は男性48例(62%)・女性30例(38%)と有意にLA群で女性が多かった.年齢はOA群で小児症例が多く,有意にOAで低かった.術前のWBC,CRPの値は両群間に有意差を認めなかった.手術時間はLA群で70分であるのに対しOA群は79分で,両群間に有意差を認めなかった.出血量はLA群で8mlであるのに対してOA 群が11mlと両群間に有意差を認めなかった.合併症に関してはClavien-Dindo 分類GradeII以上がLA群1例,OA群8例で有意にLAで術後合併症が少なかった.術後在院日数はOA群で5.1日,LA群は5.5日で有意差はなかった.また,BMI high群ではOA群で合併症の増加・手術時間の延長を有意に認めたのに対して,LA群ではともに有意差を認めなかった.【まとめ】当科での急性虫垂炎における腹腔鏡下手術導入期における腹腔鏡下手術と小開腹手術の比較検討を行った.腹腔鏡下手術は小開腹手術に比べ,術後入院日数は変わらなかったが,術後合併症は有意に少なく有用であると考えられた.今後は腹腔鏡手術の定型化を進めることで,手術時間短縮や医療費削減に寄与することが期待される.
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