演題

当科における急性虫垂炎の検討

[演者] 上田 康二:1
[著者] 吉田 寛:1, 牧野 浩司:1, 横山 正:1, 丸山 弘:1, 平方 敦史:1, 上田 純志:1, 髙田 英志:1, 菊池 友太:1, 内田 英二:2
1:日本医科大学多摩永山病院 消化器外科・乳腺外科・一般外科, 2:日本医科大学付属病院 消化器外科

【はじめに】当科では,2012年より急性虫垂炎に対して腹腔鏡下手術(laparoscopic appendectomy:LA)を導入している.従来の小開腹手術(open appendectomy:OA)とLAにおける術後在院日数・合併症・医療費について比較することで,LAの有用性及び,合併症による医療費の増加の程度について検討したので報告する.【対象と方法】対象は2010年1月~2016年9月に急性虫垂炎の診断にて当院で手術を施行した426例とした.内訳はLA群 157例,OA群 269例であった.両郡間における術後合併症・術後在院日数・医療費などに対して比較検討を行なった.【結果】患者背景:LA群は男性97例・女性60例,年齢34.8±19.3歳,OA群は男性153例・女性116例,年齢36.5±22.6歳で両群間に有意差を認めなかった.合併症に関しては種々認めたが,多く認めたのが表層SSI,腹腔内膿瘍及び術後のイレウスであったため,特にその合併例について比較した.表層切開創のSSIのみ合併例はLA群6例/OA群19例で平均在院日数はそれぞれ7.5±5.6日/8.6±6.6日,医療費はLA群710,970円/OA群1,032,762円.腹腔内膿瘍の合併例はLA群2例/OA群8例,平均在院日数5.5±0.7日/12.9±8.8日,医療費はLA群1,507,460円/OA群1,093,503円.イレウスのみの合併例はLA群3例/OA群は12例,平均在院日数13±4.6/17.0±8.7日,医療費はLA群998,506円/OA群1,033,119円.表層切開創のSSIにイレウスが合併した症例はLA群1例/OA群3例で在院日数は10/11.7日,医療費はLA群865,630円/OA群768,340円.腹腔内膿瘍にイレウスが合併した症例はLA群1例/OA群2例,在院日数は15日/16日,医療費はLA群1,536,680円/OA群1,428,910円.そのほかの症例の術後在院日数はLA群4.2±1.9日/OA群5.4±2.6日,医療費はLA群520,050円/OA群586,540円であった.また,合併症の発症要因として,虫垂炎の重症度及び患者のBMIについて比較を行ったところ,虫垂炎の重症度が高い症例で合併症の発症率は高値であった.また,OA群において,BMIが高値であると合併症の発症率が上昇し,LA群ではBMIは合併症の発症率に影響を与えなかった.【まとめ】当科における急性虫垂炎に対して腹腔鏡下手術と小開腹手術において比較検討を行った.合併症の発症率,在院日数はLA群で有意に低下したが,医療費には有意差を認めなかった.また,SSI,腹腔内膿瘍,イレウスを合併するとLA群,OA群でいずれにおいても在院日数の延長及び医療費の増加を認めた.
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