演題

大腸癌肝転移治療におけるmultidisciplinary approachの重要性:肝臓外科医の立場から

[演者] 進藤 潤一:1
[著者] 西岡 裕次郎:1, 富沢 賢治:1, 花岡 裕:1, 戸田 重夫:1, 森山 仁:1, 的場 周一郎:1, 黒柳 洋弥:1, 橋本 雅司:1
1:虎の門病院 消化器外科

大腸癌肝転移の治療において外科的切除が強い予後因子となることは周知の事実であるが,予後改善のための周術期化学療法の適否に関しては未だコンセンサスがなく,主治医が誰かによって切除適応の考え方や治療方針が大きく異なっていることも事実である.様々な分子標的治療薬やバイオマーカーの開発が進む現代において,腫瘍径,腫瘍数,肝外転移の有無など,大腸癌肝転移の切除適応決定において従来指針とされてきた古典的因子が予後に与える影響は減じてきている.Stage IV大腸癌治療の分野ではmultidisciplinary team (MDT) approach の重要性が近年盛んに報告されるようになっているが,これは裏を返せば現存しているわずかなエビデンスのある・なしではなく,様々な意見を持った専門家が一例一例,症例毎にベストプラクティスを探っていくことの重要性を示唆している.
現在の大腸癌肝転移治療において手術と化学療法は2つの大きな柱であり,一人の患者の長期予後を達成するために重要なポイントは,大腸癌という病気全体を見渡す司令塔である大腸外科医の存在,高度の技能と化学療法の知識を背景に大腸癌の予後規定因子である肝転移巣を適切にマネージメントする肝臓外科医の存在,エビデンスと薬剤に対する豊富な知識をもとにレジメン選択を行う腫瘍内科医の存在,化学療法の効果や予後予測に重要な所見を評価・判定する放射線科医・病理医の存在である.これら専門家集団の密接な連携があって初めて,治療効果が最大限に引き出せる可能性がある.腫瘍の進行度合いが強ければ強いほどこのMDT approachの重要性は増していく.今回は肝臓外科医の立場から,大腸癌肝転移治療における望ましいアプローチについて議論を行う.
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