演題

後期研修医による腹腔鏡下虫垂切除術の妥当性

[演者] 藤本 剛士:1
[著者] 草薙 洋:1, 角田 明良:1, 山田 成寿:1, 林 賢:1, 高橋 知子:1, 本城 弘貴:1, 藤井 渉:1, 林 健太郎:1, 八木 勇磨:1
1:亀田総合病院 消化器外科

【はじめに】
古くより虫垂切除術は外科医入門の術式として位置づけられてきた.しかし今日では腹腔鏡下手術が標準的に施行されており,必ずしも外科研修医の執刀機会が担保されているとは言い難い.当院では基本的に後期研修医(3-6年目)が執刀しており,その妥当性を検証した.
【対象】
2014年4月1日から2016年3月31日までの2年間に後期研修医が執刀した腹腔鏡下虫垂切除術症例121例.執刀医は3年目32例,4年目33例,5年目29例,6年目23例であり,指導医は消化器外科専門医または内視鏡外科技術認定医で手術施行した.
【方法】
カルテによる後ろ向き研究で,年齢,性別,手術時間,出血量,在院日数,合併症について検討した.手術は臍部にHasson canulaを挿入し,5mm portを2本使用する3 port systemを基本とし,必要に応じてport追加した.
【結果】
年齢は中央値33歳(7-89歳),男性71例,女性46例であった.手術時間中央値は73分(31-235分),出血量中央値は5ml(0.3-450ml),在院日数中央値は5日間(3-25日間)であった.4 port systemとした症例が4例(3.3%),開腹移行した症例が1例(0.8%)あった.
膿瘍形成・穿孔・汎発性腹膜炎を伴う虫垂炎を複雑性虫垂炎,その他を単純性虫垂炎と定義すると,単純性虫垂炎が90例,複雑性虫垂炎が27例であった.術後合併症は7例(5.8%)で認め,いずれも複雑性虫垂炎の症例であった.その内訳は臓器/体腔SSIが3例,創部SSIが2例,術後麻痺性イレウスが1例,尿路感染が1例であり,いずれもClavien-Dindo分類Ⅱであった.周術期死亡例は認めなかった.
病理学的検査ではカタル性虫垂炎が4例(うちinterval appendectomyが3例),蜂窩織炎性虫垂炎が69例,壊疽性虫垂炎が43例,mucinous neoplasmが1例であった.
【結語】
当科における虫垂炎に対する腹腔鏡下虫垂切除術症例は手術成績として許容される範囲内であり,本術式は外科研修医にとって安全に手術手技を獲得する機会である.ただし,症例によっては腹腔内の高度炎症・癒着により手術操作が困難であるため,上級医の指導の下で手術施行する必要がある.
詳細検索