演題

大腸癌肝転移治癒切除例における再発および生存に関する危険因子の検討

[演者] 松本 寛:1
[著者] 山口 達郎:1, 中野 大輔:1, 河村 英恭:1, 高雄 美里:1, 夏目 壮一郎:1, 本田 五郎:1, 高橋 慶一:1
1:がん・感染症センター都立駒込病院 外科

【はじめに】大腸癌において肝転移は遠隔転移臓器として最も頻度が高く,治療成績の向上において肝切除術のみが長期予後を得るためにも重要である.これまでに様々なclinical risk scoreが報告されている.近年ではバイオマーカーが抗がん剤の効果予測因子であり,さらには予後因子であることが知られている.本研究の目的は当院における肝転移治癒切除例の臨床病理学的検討をバイオマーカーも含めて行い,再発の危険因子を明らかにすることである.
【対象と方法】2008年1月から2013年7月までに当院にて大腸癌肝転移に対し治癒切除(R0/R1)を施行した症例のうち,各種バイオマーカー検索が可能であった83例を対象とした.Lynch症候群や,家族性大腸腺腫症の症例は除外した.電子カルテから後方視的に臨床病理学的特徴,周術期の化学療法,再発の有無および再発形式,全生存期間について検討した.
【結果】肝転移腫瘍径は中央値で2.5cm(range : 0.8-14.0cm),転移個数は中央値1個(range : 1-12個)であった.Kras変異を24例(28.9%)に認めた.BRAF変異は2例(2.4%)に認めた.MSI-Hは1例(1.2%)のみに認めた.肝切除後1年,2年,3年無再発生存率はそれぞれ54.1%,44.2%,32.8%であった.大腸癌取り扱い規約による肝転移分類別の肝切除後5年生存率は,78.4%(GradeA),64.1%(GradeB),46.2%(GradeC)であった.単変量解析にて肝切除後再発リスクを検討したところ,原発巣のリンパ節転移陽性(p=0.023),原発巣のリンパ管侵襲陽性(p=0.012)の2因子がリスク因子であった.また肝切除後の生存に関するリスク因子を検討すると,原発巣の深達度T4(p=0.045),原発巣のリンパ管侵襲陽性(p=0.023),MSI-H(p=0.038)が独立した因子であった.肝切除後の再発,生存に関するリスク因子を多変量解析で検討したところ,肝切除時年齢65歳以上(p=0.029),原発巣のリンパ管侵襲陽性(p=0.026),肝切除断端陽性(p=0.0.018),KRAS変異陽性(p=0.015)が独立した予後因子であった.
【結語】肝転移治癒切除において肝切除時年齢65歳以上,原発巣のリンパ管侵襲陽性,肝切除断端陽性,KRAS変異陽性が再発危険因子であり,これらの症例では治癒切除後の厳重な経過観察が必要と思われた.
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