演題

当院における膿瘍形成性虫垂炎に対するInterval appendectomyの治療成績

[演者] 寺川 裕史:1
[著者] 森 和也:1, 馬渡 俊樹:1, 堀川 直樹:1, 福島 亘:1, 薮下 和久:1
1:高岡市民病院 外科

【背景】近年,膿瘍形成性虫垂炎に対するInterval appendectomy(以下,IA)の有効性が多数報告されている.当院においても2014年度より膿瘍形成性虫垂炎に対しIAを導入している.
【目的】膿瘍形成性虫垂炎に対しIAを行った症例と急性期手術症例を比較の短期の治療成績を比較検討し,IAの有効性を明らかにすることを目的とした.
【方法】2014年4月から2016年12月までに膿瘍形成性虫垂炎に対しIAを行った5例(以下,A群)と急性期に手術を行った6例(以下,B群)を対象とした.治療法は主治医により決定されており,現時点で明確な基準は設けていない.術式,手術時間,出血量,入院期間や術後合併症などの項目について検討した.
【結果】A群は平均60.6歳(男性4例,女性1例),B群は平均66.5歳(男性4例,女性2例)であった.術前の白血球数,CRP値に有意差を認めなかった.A群では平均2か月の待期期間をおき,全例に単孔式腹腔鏡下虫垂切除術が施行されていた.B群では全例に回盲部切除術が施行されていた.B群のうち2例に盲腸癌が合併していた.この2例は術前の画像検査で盲腸癌の可能性を疑っていた.手術時間には有意差を認めなかったが,術中出血量には有意差を認めた(A群:37.8mL,B群:342.5mL).A群における2回の入院期間の合計とB群の入院期間に有意差は認めなかった(A群:16.6日,B群:17.0日).A群では1例に術後癒着性イレウスを認め,B群では2例に術後遺残膿瘍を認めた.いずれも保存的治療にて軽快している.
【考察】膿瘍形成性虫垂炎に対するIAは,手術侵襲の軽減(腹腔鏡手術が可能,回盲部切除が回避出来る),術中出血量の減少,術後遺残膿瘍の軽減などに寄与する可能性があると考えられた.しかし報告ではIAの待期期間中に虫垂炎が再燃する症例や保存的治療が奏功せず緊急手術を施行する症例がある.また,われわれが経験したように盲腸癌など,悪性腫瘍が合併している症例もある.どのような症例がIAに適しているのか,今後も症例を蓄積し検討していく必要があると考えられた.
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