演題

当院における大腸憩室出血の検討

[演者] 北村 直美:1,2
[著者] 清水 智治:1, 飯田 洋也:1, 赤堀 浩也:1, 貝田 佐知子:1, 三宅 亨:1, 園田 寛道:1, 山口 剛:1, 仲 成幸:1, 谷 眞至:1
1:滋賀医科大学附属病院 消化器外科, 2:滋賀医科大学附属病院 救急・集中治療部

【はじめに】食文化の欧米化や高齢化社会をむかえ,大腸憩室症および憩室出血は増加している.当院における大腸憩室出血の診断法と治療,リスク因子について検討した.【対象と方法】2010年1月1日から2015年12月31日までに当院で入院加療を行った大腸憩室出血症例延べ72例 (52名)を対象として,平均年齢,男女比,出血の部位,診断の根拠,治療の内容,輸血の有無,平均入院日数,偶発症の有無,既往歴や嗜好品,抗血小板薬等内服の有無,再出血の有無等について検討した.さらに半年以内に再出血をした群28例と再出血をしなかった群44例で同様の項目を比較検討した.両者の比較にはFisherの直接検定,及びt検定を用いた.【結果】平均年齢は72.0±9.5で男性54例女性18例,出血の部位は上行結腸が最も多く(69.4%),次にS状結腸(18.1%)が多かった.診断の根拠はCT検査によるものが多く(41.7%),次に下部消化管内視鏡検査(CF)が37.5%,過去の病歴によるものが20.8%を占めていた.初診時に止血処置を行った症例は56.9%で,CFによるクリッピングが最も多く(82.9%),次にIVRによるコイリングが多かった(17.1%).緊急手術を行われた症例はなく,短期間に4回再出血した2名に対して待機的に腹腔鏡下右半結腸切除術が行われた.輸血は25%に行われており,平均入院日数は9.5±4.7であった.偶発症は全体で9.7%に認めたが,Clavien-Dindo分類Ⅱ度以上の合併症は認めなかった.既往歴は高血圧症を伴うものが最も多く(54.2%),次に悪性腫瘍(26.4%),虚血性心疾患(18.0%)が多かった.喫煙は44.4%に認め,飲酒も45.8%に認めた.抗血小板薬は27.8%,抗凝固薬は9.7%,NSAIDsは25%が内服していた.半年以内に再出血をした群は全体の38.9%で,再出血をしなかった群と比較して既往歴や内服に有意差は認めなかったが,飲酒は有意に多く(18/28 64.3% vs 16/44 36.4%; p=0.029),喫煙も多い傾向にあった(19/28 67.9% vs 21/44 47.7%; p=0.075).【結語】 飲酒と喫煙は大腸憩室出血再発のリスク因子であり,再発予防のために患者教育の重要性が示唆された.
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