演題

結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻6例に対する手術の検討

[演者] 菊池 智宏:1
[著者] 金田 晃尚:1, 楡井 東:1, 花山 寛之:1, 遠藤 久仁:1, 佐瀬 善一郎:1, 丸橋 繁:2, 河野 浩二:1
1:福島県立医科大学医学部 消化管外科学講座, 2:福島県立医科大学医学部 肝胆膵・移植外科学講座

【はじめに】結腸憩室炎による結腸膀胱瘻は比較的稀な病態である.特に本邦では結腸憩室は右側に多いとされ,左側に多い欧米に比して結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻は稀である.しかし今後,食生活の欧米化により本邦でも増加してくることが考えられる.結腸膀胱瘻の自然閉鎖は困難であり,治療は手術が第1選択となるが,その術式に関してはさまざまな意見があるのが現状である.今回われわれは,6例の結腸憩室炎によるS状結腸膀胱瘻に対する手術を経験したので,診断,術式などを集計し検討した.
【対象と方法】2009年から2016年までの7年間に当科で経験した6例を対象とした.
【結果】全例男性であった.年齢は36歳から72歳で平均は55.7歳であった.臨床症状は糞尿3例,下腹部痛3例,血尿2例,膿尿2例,気尿1例であった(複数回答).画像所見ではCTにて全例に膀胱内の空気像を認めた.透視検査(注腸造影,膀胱造影)または膀胱鏡で瘻孔が証明できたのは2例に留まった.術式は開腹S状結腸切除術が4例,Hartmann手術が1例,腹腔鏡補助下S状結腸切除術が1例であった.瘻孔切除に関しては,4例に膀胱部分切除(全層)を行い,残り2例には瘻孔切除は行わず瘻孔切離のみを行った.術後合併症はSSIが3例あったのみであった.再発は認めなかった.
【考察】S状結腸膀胱瘻は女性ではS状結腸と膀胱の間に子宮が介在するため炎症が波及しにくく,故に男性で多いとされる.今回の6例も全て男性であった.症状に関しては糞尿,気尿など尿路系の症状を呈することが多く,これは腸管内圧が膀胱内圧よりも高いことに起因するとされている.診断に関して瘻孔が証明できれば確定診断となるが,実際には各種検査を施行しても証明できない症例も多い.しかし瘻孔の証明がなくとも臨床症状と複数の検査の組み合わせで診断し,治療されているのが現状であり,今回も瘻孔が証明できたのは6例中2例であった.瘻孔の自然閉鎖が困難とされることから,治療は手術が第1選択となる.従来開腹でのS状結腸切除,膀胱部分切除(全層での瘻孔切除)が標準的に行われてきたが,膀胱部分切除は必ずしも必要でないという報告や,腹腔鏡での手術報告も散見されるようになってきている.われわれも直近の2例では瘻孔切離のみや腹腔鏡下手術を施行し,いずれも良好な経過を得ているが,今後術式の検討が必要と考えられた.
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