演題

瘻孔形成を伴う結腸憩室炎に対する腹腔鏡下手術

[演者] 大坪 慶志輝:1
[著者] 植木 隆:1, 谷口 隆之:1, 安蘓 鉄平:1, 池永 直樹:1, 前山 良:1, 松本 耕太郎:1, 許斐 裕之:1, 大城戸 政行:1, 一宮 仁:1
1:浜の町病院 外科

背景:瘻孔形成を伴う大腸憩室炎に対する手術療法は従来開腹手術が一般的であったが,近年腹腔鏡手術の普及,進歩に伴い,腹腔鏡手術の有効性が報告されている.
今回,膿瘍・瘻孔形成を有する大腸憩室炎症例に対する腹腔鏡手術を施行した3例を経験したので,報告する.
症例1は54歳男性.S状結腸憩室炎と周囲膿瘍,膀胱結腸瘻を認めた.左尿管ステントを留置した後,5ポートで手術を開始した.近位S状結腸から6cm大の炎症性腫瘤を形成し,膀胱壁との間に2cm大の膿瘍形成を認めた.鏡視下に内側アプローチ,特に仙骨前面の層からの剥離を行い,その後外側アプローチを行って左側結腸~直腸の授動を行った.腹腔内で直腸を切離後,小開腹下に近位下行結腸で切離した.膀胱壁と連続した膿瘍を開放し,洗浄・焼灼を行った後,3-0vicryl 3針結節縫合を行った.リークテストを行い,リークがないことを確認し,DSTにて端端吻合を行い,ドレーンを留置して閉腹した.術後経過は良好で術後9日目に退院した.
症例2は84歳男性.下腹部痛・気尿を契機にS状結腸憩室炎・結腸膀胱瘻を指摘.左尿管ステントを留置した後,5ポートで手術を開始した.S状結腸中央と左側腹膜反転部腹側の膀胱間に瘻孔を形成しており,強固に癒着を認めた.症例1と同様,鏡視下に剥離を行い,左側結腸の授動を行った後,憩室のない直腸Rs部で肛門側を切離し,小開腹下にS状結腸近位で切離した.膀胱瘻の瘻孔壁を焼灼後,3-0vicryl 2針結節縫合を追加した.リークテストを行いDSTで再建し,ドレーンを留置,閉腹した.術後経過良好で術後12日目で退院した.
症例3は82歳男性.S状結腸憩室炎を繰り返し,手術を施行した.左尿管ステントを留置後5ポートで手術を開始した.S状結腸やや近位と腹膜反転部付近の直腸を中心に5cm大の炎症性腫瘤を形成,前壁側は膀胱腹膜と広範囲に癒着していた.鏡視下に剥離,授動を行い,反転部肛門側の直腸で切離を行った.DSTで再建し,ドレーンを留置して閉腹した.術後神経因性膀胱を認め,自己導尿を導入し術後19日目に退院した.

腹腔鏡により,開腹手術では得られない背側の良好な視野と拡大視効果が得られるため,温存すべき性腺動静脈や腸骨動静脈,尿管を安全に剥離,温存することが可能である.
膿瘍・瘻孔を伴う大腸憩室炎に対する手術に対しても腹腔鏡手術は安全かつ有用な手術であると考えられる.
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