演題

腸重積を来した大腸癌6例の検討

[演者] 高山 碩俊:1
[著者] 池永 雅一:1, 太田 勝也:1, 上田 正射:1, 板倉 弘明:1, 津田 雄二郎:1, 中島 慎介:1, 足立 真一:1, 遠藤 俊治:1, 山田 晃正:1
1:市立東大阪医療センター 消化器外科

【背景】大腸癌による腸重積に対する治療は切除前整復や手術時期について一定の見解を得られていない.当科で経験した,大腸癌を原因とした成人腸重積の6例についての検討を行ったので,文献的考察を踏まえて報告する.【対象と方法】2015年1月から2016年10月の間に大腸癌による腸重積と診断され,当科で手術を行った症例を対象とした.患者背景や発生部位,整復や手術時期や術式,病理組織学的特徴について検討した.【結果】性別は男性が2例,女性が4例.平均年齢は75.3歳(51歳~88歳).発生部位は回盲部型が4例,大腸型が2例であった.手術時期は緊急手術が5例,待機的手術が1例.術前に非観血的処置(内視鏡下整復)を試みた症例が1例あった.術中徒手整復は2例で成功し,3例は不成功であった.1例は開腹時に自然整復されていた.5症例で腹部CT検査で腸重積と診断され,大腸癌を疑ったので,リンパ節郭清を伴う腸管切除を行った.1例はハルトマン手術を行った.全6症例の病理学的所見については,腫瘍の位置はA:3例,T:1例,S:1例,A-C-I:1例であった.肉眼型は1型:5例,2型:1例.深達度は6例全てSSであった.N0:3例,N1:3例.組織型はtub1:3例,tub2:2例,muc:1例であった.リンパ管侵襲はly0:1例,ly1:4例,ly2:1例.静脈侵襲はv0:5例,v1:1例であった.組織型としての総合所見はStageII:3例,StageIIIa:3例であった.また病理学的所見にて腸管虚血所見を認めたのは1例であった.【考察】大腸癌による腸重積に対する治療は,適切な治療方法を選択する意味で,質的診断を行った後に待機的手術を行う事が理想とされているが,今回経験した緊急手術症例は,CT検査所見,術中診断から大腸癌と診断し,リンパ節郭清を伴う術式を選択した.吻合の障害となる腸管浮腫は認めず,安全に一期的吻合を行う事が出来た.1例のみ根治術を目的とせず,ADLの改善のためにハルトマン手術を行った.腸重積をきたす大腸癌の特徴として,腫瘍の肉眼型は隆起性が多く,かつ壁浸潤により固定されない段階での頻度が高いことが指摘されているが,6例すべて壁深達度がSSであり,肉眼型は5例が1型で,1例が2型であり,文献的報告と矛盾しない結果が得られた.また,腫瘍の占拠部位については,4例で上行結腸に認めた.可動性の高い盲腸やS状結腸を好発部位とする一方で,後腹膜に固定されている上行結腸では発生しにくいと考えられるが,4症例全て腸間膜の後腹膜への固定がなかった.
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