演題

腸管嚢胞様気腫症を先進部とした腸重積を短期間に繰り返した1例

[演者] 川島 龍樹:1
[著者] 横田 満:1, 橋田 和樹:1, 大目 祐介:1, 長久 吉雄:1, 岡部 道雄:1, 河本 和幸:1
1:倉敷中央病院 外科

【はじめに】腸管嚢胞様気腫症(pneumatosis cystoides intestinalis; PCI)は,腸管壁の粘膜下層や漿膜下層に含気性嚢胞が多発する比較的まれな疾患である.一般的に臨床症状は軽微であることが多く,腹部レントゲン検査やCT検査などで偶発的に指摘されることも少なくない.今回,我々はPCIを先進部とした腸重積を繰り返した1例を経験したので,若干の文献的考察を加えて報告する.
【症例】17歳,男性.16歳時に腸重積を来し,精査によりPCIと診断された.その後も腸重積を発症したが,保存的治療のみで自然整復を得ていたため経過観察となっていた.今回,10日間持続する間欠的な腹痛・食思不振を主訴に救急外来を受診した.CT検査で肝彎曲部にターゲットサインを認め,腸重積と診断した.下部内視鏡検査で整復を得たが,これまでも同様の経過を繰り返していることから,待機的に腹腔鏡下結腸右半切除術を施行した.術中所見では腸管壁に所見はなく,切除標本で盲腸から横行結腸肝彎曲部の粘膜に3-4cm大の隆起性病変が多発していた.割面像では粘膜下に嚢胞様気腫の多発を認め,それぞれの気腫は多房性に隔壁を有していた.病理組織学的検査では,腸間膜付着部対側の粘膜下に嚢胞状気腫が多発しており,気腫は粘膜下層に限局していた.気腫壁を裏打ちする上皮はみられず,組織球が散在性に集簇していた.術後経過は良好であり,第6病日に退院となった.
【考察】PCIと腸重積の合併は比較的まれであり,本邦においては20例の報告があるに過ぎない.腸重積を来した場合の治療は,高圧浣腸や下部内視鏡による非観血的整復を行い,整復が得られない場合には手術が必要となる.過去報告例での初回治療は,11例が腸管切除を含む手術,9例が非観血的整復であった.非観血的に整復を得た9例のうち,自験例を含めた4例では整復後8日から3ヵ月と比較的短期間で腸重積の再発を来し,手術が行われていた.腸重積合併例では特発性が多く,高圧酸素療法などの保存的治療のみでの完全寛解は難しく,非観血的に整復を得ても原因を除去できてないため再発する可能性が高いと考えられた.よって気腫が残存する場合は待機的に手術加療の検討が必要と思われた.
【まとめ】PCIを先進部として腸重積を繰り返したまれな一例を経験した.非観血的に整復できた場合でも,気腫の改善が得られず残存する場合には再発を来し得るため,待機的手術も検討されると考えられた.
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