演題

早期創傷治癒を目指した人工肛門閉鎖術後の局所陰圧閉鎖療法

[演者] 桑原 隆一:1
[著者] 賀川 義規:1, 内藤 敦:1, 村上 剛平:1, 桂 宣輝:1, 大村 仁昭:1, 竹野 淳:1, 武田 裕:1, 田村 茂行:1, 加藤 健志:1
1:関西労災病院 外科

【はじめに】
直腸癌手術に伴う一時的な回腸人工肛門造設術は,大腸癌の増加,直腸括約筋間切除などの肛門温存手術の増加とともに増加傾向にある.人工肛門閉鎖時の合併症として創感染,創傷治癒遅延があり,これにより患者の社会復帰が遅れ,在院期間の延長,通院頻度の増加などが生じる.このため当院では,創部の管理として環状縫合のみを行っていたが,それに加えて人工肛門閉鎖術後に陰圧閉鎖療法(PICO創傷治療システム, スミス・アンド・ネフュー社)を導入し,術後創部の処置はほとんど行わず陰圧閉鎖療法を行ったまま退院としておりその治療成績について報告する.
【方法と対象】
2011年1月から2014年9月までに施行した環状縫合のみ40例と2014年10月から2016年9月までに施行した陰圧閉鎖療法(環状縫合+陰圧閉鎖療法)40例.創部感染の発生率,術後在院期間,治癒までの期間(創部が閉鎖するまで)について検討した.
【結果】
環状縫合のみ群と陰圧閉鎖療法群の患者背景は男女比が13:27と17:23,年齢(平均値)66.0歳/70.4歳,人工肛門保有月(中央値)5ヶ月/5ヶ月で有意差は認めなかった.
創部感染の発生率は,環状縫合のみ群42.5%(17/40),陰圧閉鎖療法群5.0%(2/40)であり陰圧閉鎖療法群の方が有意に低かった(P=0.001).術後在院期間(中央値)は環状縫合のみ群12日(5-60日),陰圧閉鎖療法5日(3-19日)で,陰圧閉鎖療法群の方が有意に短かった(P=0.002).また,治癒までの期間(中央値)においても,環状縫合のみ群28日(15-120日),陰圧閉鎖療法18日(13-48日)で,陰圧閉鎖療法群の方が有意に短かった(P=0.001).
【結語】
人工肛門閉鎖術後に創部管理として,環状縫合に陰圧閉鎖療法を加えることで,創部感染の発生率が低下した.また陰圧閉鎖療法は創部管理も簡便で術後在院日数,創治癒までの期間を優位に短縮させることができた.
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