演題

直腸癌手術時の一時的人工肛門の選択-主に人工肛門閉鎖の観点から-

[演者] 藤田 純輝:1,2
[著者] 山口 悟:1,2, 井原 啓佑:1,2, 志田 陽介:1,2, 横山 悠:1,2, 伊藤 淳:1,2, 中島 政信:1,2, 佐々木 欣郎:1,2, 土岡 丘:1,2, 加藤 広行:1,2
1:獨協医科大学病院, 2:第一外科

【緒言】下部直腸癌に対する集学的治療の発達および手術手技の向上から,肛門を温存できる症例が増加している.一時的人工肛門造設に関して,回腸人工肛門と横行結腸人工肛門が多く選択されている.手技の簡便さから回腸人工肛門が造設される症例が多いが,管理面や術後合併症については様々な報告があり,どちらを選択するかはいまだ議論の余地がある.【対象・方法】2010年から2015年までに直腸癌の診断で手術施行された症例のうち,一時的な人工肛門の造設がなされた58例を対象とした.縫合不全を発症した後に人工肛門が造設された症例は除外した.横行結腸人工肛門(CS)群と回腸人工肛門(IS)群について,各々の背景因子,人工肛門の管理におけるトラブルの有無,閉鎖時の術後合併症について,後ろ向きに比較検討を行った.【結果】CS群9例,IS群49例であった.年齢,男女比に両群間で有意差は認めなかった.人工肛門閉鎖までの期間はCS群229日に対してIS群215日で,両群間に有意差は認めなかった.人工肛門管理について,皮膚トラブルがCS群で有意に多い結果となった(p=0.02).閉鎖前の栄養状態に関して血清アルブミン値,リンパ球数について比較を行ったが,両群間に差を認めなかった.閉鎖時の術後合併症について,全例においてClavien-Dindo分類IIIb以上の合併症は認めなかった.創感染がCS群3例(33%)に対してIS群1例(2%)であり,有意にCS群で多い結果となった(p=0.01).イレウスはCS群2例(22%)でIS群(6%)で有意差は認めず,縫合不全に関してもCS群1例(11%)に対してIS群0例(0%)であり両群間で有意差を認めなかった.【結論】横行結腸人工肛門と回腸人工肛門との間で,人工肛門管理に関するトラブルや人工肛門閉鎖における術後合併症において統計学的な相違はなかった.しかしながら横行結腸人工肛門群では1例に縫合不全を認めており,手術時間や出血量も多い傾向を認めた.人工肛門閉鎖の観点からは横行結腸人工肛門には術後合併症に関してデメリットが多いと思われた.
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