演題

医療費から見たイレウス管の検討

[演者] 雫 真人:1
[著者] 丸山 浩高:1, 坂田 和規:1, 末永 泰人:1, 砂川 祐輝:1, 服部 正嗣:1, 寺本 仁:1, 鹿野 敏雄:1, 蜂須賀 丈博:1, 森 敏宏:1
1:市立四日市病院 外科

【はじめに】イレウスは,頻繁に遭遇する疾患の一つで,開腹手術後の癒着は70-95%程度に生じ,15-40%で入院を要する.さらに,再手術の際の手術時間の延長や入院期間の延長,不妊率の上昇などの原因となる.
【目的】イレウス症例の入院日数の減少や医療費の抑制を目的として当院に入院した同疾患の患者の検討を行った.
【方法】2010年1月~2015年12月の間に当院に入院したイレウス770例を対象とした.イレウス管挿入症例数,イレウス管挿入による改善率を検討し,ショートチューブ挿入で軽快した症例・イレウス管を挿入し軽快した症例・イレウス管を挿入したが手術を要した症例の3群,に分けてついてその特徴を分析した.
緊急手術を要しないイレウスの治療方針は,ショートチューブを挿入し,2~3日挿入も改善がなければイレウス管を挿入,イレウス管挿入後,7~10日経過を見ても改善しない場合は手術としている.
【結果】770例中,緊急手術症例が70例であり,保存的加療の方針となった症例は700例だった.そのうち,イレウス管を挿入した症例は131例で,男性76例,女性55例,保存的治療例全体の18.7%であった.イレウス管を挿入し改善した症例は67例 (50.6%),改善せず手術の転帰となった症例が64例(49.4%)であった.ショートチューブ挿入で改善した症例は569例で平均入院日数7.3日,医療費が平均278,055円/例,イレウス管を挿入し改善した症例は67例で平均入院日数14.2日,医療費が平均556,214円/例,イレウス管を入れたにも関わらず手術となった症例は64例で平均入院日数26.0日,医療費が平均1,351,527円/例であった.
【考察】今回の当院の検討ではイレウス管を挿入しても約50%は改善せず手術となることが分かった.イレウス管は閉塞部位の同定や腸管減圧が期待できる一方,誤嚥性肺炎のリスクや入院の長期化,経鼻チューブ留置による苦痛,改善せず手術となればより医療費がかさむ.そのため,イレウス管挿入は,手術希望がない,腹腔鏡手術を考慮している,耐術能に問題がある患者,などある程度限定する必要があると考えた.また,医療費が高額となる症例もあり,検査や抗生剤の使用,コストなど見直す必要がある.
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