演題

当院における開腹既往歴のない小腸イレウス17例の検討

[演者] 谷田部 沙織:1
[著者] 坪井 一人:1, 市原 恒平:1, 阿部 恭平:1, 道躰 隆行:1, 良元 和久:1, 吉田 清哉:1, 梶本 徹也:1, 柏木 秀幸:1, 矢永 勝彦:2
1:富士市立中央病院 外科, 2:東京慈恵会医科大学附属病院 消化管外科

【背景と目的】イレウスは実臨床で多く経験する疾患であり,通過障害の原因としては過去に受けた開腹手術の癒着によるものが多く,その割合は9割を超える.一方,開腹既往歴のないイレウスは診断に難渋することが多く,手術のタイミングを見極める判断力が要求される.そこで当院において開腹既往歴のない小腸イレウスで手術を要した症例の臨床的特徴を検討した.
【対象と方法】2015年1月~2016年12月の間に当院で手術を施行した小腸イレウス46例のうち開腹既往歴を有さない17例(37.0%)を対象とし,臨床経過や治療成績について後ろ向きに検討した.また,術後合併症はClavien-Dindo分類(以下CD分類)でgradeⅡ以上を合併症ありと定義した.
【結果】年齢は平均69(19-97)歳で,男性10例に対し女性7例であった.全症例で腹痛または嘔吐が認められ,排便障害は下痢3例,黒色便1例に認めた.症状出現から手術に至るまでの期間は平均7(0-36)日であり,12例(71%)で発症から4日以内に手術が行われ,受診当日に緊急手術となったのは9例(53%)であった.手術所見では10例(59%)に腸管虚血の所見を認め,閉塞解除により虚血の改善を認めた1例を除き腸管切除を行った.その他,癒着剥離操作で腸管損傷をきたした1例と小腸潰瘍により腸管内腔狭窄を伴った1例において腸管切除を要したことから,対象症例中では計11例(65%)に対し腸管切除が施された.手術時間は平均96.5(33-159)分,術中出血量は平均45.8(0-120)mlであった.周術期の手術関連合併症は5例(30%)に認め,創部感染3例と術後麻痺性イレウス2例であった.また手術非関連合併症は2例(12%)に認め,肺炎1例とカテーテル感染1例であった.いずれもCD分類Ⅲ以上のものは認めなかった.術後在院日数は平均18(7-66)日で在院死はなかった.
【結論】当院では小腸イレウスにて手術を要した症例のうち開腹既往歴のないものが約4割と比較的多かった.開腹既往歴のない小腸イレウスでは全例に腹痛または嘔吐がみられ,発症から比較的早期に手術を行っている症例が多いにもかかわらず6割以上で腸管切除を要しており,早期診断と早期治療が非常に重要と考えられた.
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