演題

WS03-8

膵体尾部癌根治切除例における術中腹水洗浄細胞診の意義

[演者] 岩上 佳史:1
[著者] 江口 英利:1, 山田 大作:1, 野田 剛広:1, 浅岡 忠史:1, 和田 浩志:1, 川本 弘一:1, 後藤 邦仁:1, 森 正樹:1, 土岐 祐一郎:1
1:大阪大学大学院医学系研究科 外科学講座 消化器外科学

【背景】浸潤性膵管癌(以下,膵癌)における腹水洗浄細胞診(以下,CY)陽性は,欧米ではNCCNガイドラインにより遠隔転移と同義であるとされているが,本邦では今後の検討課題とされており,膵癌切除症例におけるCYの意義は未だ十分に確立されてはいない.今回,当科で腹水洗浄細胞診を実施した膵体尾部癌切除症例を解析し,CYの意義を検討したので報告する.【対象と方法】2000年1月から2015年12月までに膵体尾部癌の診断のもと術中腹水洗浄細胞診を実施し,根治切除を行った92例を対象とした.進行度の記載は膵癌取扱い規約第6版に従い,無病生存期間と全生存期間について,CYを含む臨床病理学的因子を用いて比較検討を行った.【結果】CY陽性は全例StageIVa(以下,CY陽性群)で8例,一方CY陰性のStageIVa(以下,CY陰性群)は53例であり,以下CY陽性群とCY陰性群を比較した.年齢の中央値は71歳(39~83歳),男性37例,女性24例であり,CY陽性群で有意に門脈浸潤陽性,動脈浸潤陽性,静脈侵襲陽性が多かった(それぞれ,p=0.050, 0.027, 0.001).再発形式としては,腹膜播種再発がCY陽性群で有意に多かった(p=0.008)が,腹膜播種を除く遠隔転移再発には有意差を認めず,CY陽性群に局所再発を来した症例はなかった.無病生存期間はCY陽性群0.6±0.1年,CY陰性群3.1±0.6年とCY陽性群で有意に短かった(p<0.0001)が,全生存期間はCY陽性群1.8±0.4年,CY陰性群4.9±0.9年と有意差を認めなかった(p=0.159).多変量解析の結果,CY陽性,および静脈侵襲陽性は無病生存期間における独立予後因子となった(それぞれp=0.035, リスク比2.871, 95%信頼区間 1.083-7.247, p=0.022, リスク比2.657, 95%信頼区間 1.156-6.200)が,一方,全生存期間においては独立予後因子となる項目は存在しなかった.【結語】今回の解析で,CY陽性群では,腹膜播種再発が有意に多く,無病生存期間が有意に短かったが,全生存期間に有意差までは認められなかった.今後,CY陽性症例の腹膜播種に対する治療介入が予後改善に寄与する可能性が示唆された.
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