演題

CRP低値は絞扼性イレウスのサインである.

[演者] 山口 健太郎:1
[著者] 島崎 朝子:1, 勝部 隆男:1, 宮澤 美季:1, 碓井 健文:1, 横溝 肇:1, 塩澤 俊一:1, 島川 武:1, 吉松 和彦:1, 成高 義彦:1
1:東京女子医科大学東医療センター 外科

【はじめに】絞扼性イレウスの診断のための血液検査項目では白血球数,CRP, LDH, CK, 血液ガス所見,乳酸値などが検討されてきたが,診断に決定的なものは未だない.CRPは局所でのIL-6等の炎症性サイトカインが肝臓へ到達し産生されることが知られているが,今回われわれは絞扼性イレウス症例の血中および腹水中のIL-6を測定し,CRP値との関連について検討したので報告する.
【対象と方法】2014年3月から2016年7月までに当科で絞扼性イレウスと診断され手術を行った24例(年齢中央値71歳,男女比8:16)を対象とし,初診時採血におけるIL-6値(東レ・メディカル製,IL-6半定量キットを使用),CRP値および白血球数(WBC)を測定した.また,これら24例を腸管切除群 13例と非切除群 11例に分けCRP値,WBCについて比較検討した.さらに,5例ではあるが腹水中のIL-6を測定できたので併せて報告する.
【結果】絞扼性イレウス症例の初診時採血におけるCRP平均値は0.52±0.13 mg/dlと低値であった.WBC平均値は9600±957 /μlと高値ではあるが突出したものではなかった.IL-6値は1例を除いた23例が0 pg/mlで,IL-6が高値であった1例は来院時には汎発性腹膜炎でショック状態の症例であった(来院時CRP 2.71 mg/dl).次に切除群と非切除群で検討すると切除群CRP値 0.58±0.20 mg/dl, 非切除群 0.45±0.15 mg/dlで差を認めなかった(p=0.622: student-t test).WBCにおいても切除群8831±832 /μl,非切除群 10510±1862 /μlで差を認めなかった(p=0.39).また,腹水中のIL-6を検査できた5例では,いずれもIL-6値5000 pg/ml以上の強陽性を示した.
【考察】絞扼性イレウスにおいて局所(腹水中)ではIL-6が多く産生されているが,ほとんどの症例で血中IL-6が陰性であることから,局所での炎症が絞扼による血流遮断により体循環に入らず,CRP産生の場である肝細胞までIL-6が到達できないためにCRPが上昇しないことが考えられる.
【結語】絞扼性イレウス症例においてCRPは低値であり,腸管切除の有無で比較してもCRP値,WBCに差はなかった.CRP低値は絞扼性イレウスのひとつのサインとして捉えることができる.
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