演題

当院における腹腔鏡下イレウス解除術の現状

[演者] 堀 宏成:1
[著者] 岸 真示:1, 門馬 浩行:1, 衣笠 章一:1, 西澤 祐輔:1, 川嶋 太郎:1, 中村 毅:1
1:兵庫県立加古川医療センター 外科

【目的】
イレウス解除術に対して腹腔鏡下手術を行うことは未だに議論があり一定のコンセンサスが存在しないが,その低侵襲性による結果は良好であり,腹腔鏡下手術を選択する施設は増加していると思われる.当院でも腹腔鏡下イレウス解除術を積極的に導入しようと努力している.今回はその有効性についてretrospectiveに検討した.
【方法】
直近の2014年1月から2016年10月までの2年半に当科において,イレウス呈した38人の患者を対象とし,のべ40例の外科的解除術が行われた.原因疾患は,根治不能な悪性疾患要因のものを除き,腹壁ヘルニア,内ヘルニア,術後の腸管癒着症,など器質的な腸管障害を来しているものを対象とした.イレウスに対し手術加療の選択並びに術式の選択は主治医の裁量にて行われた.腹腔鏡下手術について小開腹創より腸切除したものは腹腔鏡完遂例とした.検討項目は入院期間,手術待機期日,開腹既往の有無,手術時間,術後食事開始時期などである.
【成績】
全38患者にのべ40例の手術施行.腹腔鏡下(L群)13例,開腹(O群)27例が行われ,L群中に同一入院中に新規イレウス発症による腹腔鏡再手術1例を含み,O群には検討期間中の異なる時期に新規再手術施行した1例が含まれた.患者平均年齢はL群67.0歳対O群71.4歳(p=0.45)であった.入院期間はL群16.5日対O群27.8日(p=0.018)で,有意にL群が短かった.手術待機日数はL群5.92日対O群6.85日(p=0.39),開腹既往はL群10/12対O群23/27(p=0.20),手術時間はL群102分対O群116分(p=0.426)であった.腸切除はL群5/13対O群13/27(p=0.006)でO群に有意に多かった.
【結論】
腹腔鏡下イレウス解除術を行うには,鉗子操作に伴う腸管損傷などが問題となり否定的な意見がある.腹腔鏡下では視野の確保,操作空間の確保が最も重要であり,続行不可能と判断したなら躊躇なく開腹移行すべきである.本症に腹腔鏡下手術施行する利点はまず審査腹腔鏡としてイレウスの原因を確定診断できることであり,そのまま続行できた場合は低侵襲のうちに最大限の利点を享受できることにある.また腸切除必要な場合でも,必要最小限の小開腹創で済ませる可能性があると考えられる.実際,手術時間については従来の開腹手術とほとんど変わらなかったことや入院期間が短縮された事実より,今後は有利な手段となり得ると思われた.当日はさらに検討を深め若干の文献的考察を加えて報告する.
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