演題

高齢者局所進行直腸癌に対する術前化学放射線療法に関する検討

[演者] 三枝 晋:1
[著者] 井上 靖浩:1, 問山 裕二:1, 廣 純一郎:1, 藤川 裕之:1, 田中 光司:2, 奥川 喜永:2, 毛利 靖彦:1, 三木 誓雄:2, 楠 正人:1
1:三重大学大学院 消化管・小児外科学, 2:伊賀市立上野総合市民病院 外科

【背景・目的】局所進行直腸癌(LARC)に対する術前化学放射線療(CRT)は,術後局所再発率低下に有用であり,欧米においては標準的治療となっている.一方,手術単独,術前化学療法のみと比べ,予後延長への寄与が報告されているものの,術前CRTの生存率改善については,未だ示されていない.また,高齢者LARCに対する術前CRTの適応,安全性についての報告は少ない.今回,当科における70歳以上の術前CRT後LARC症例ついて検討した.
【対象・方法】当科にて,術前CRT後手術を施行したLARC患者105例を対象に行った.70歳以上を高齢者群(27例:E群)とし,70歳未満群(78例:O群)と術後合併症(surgical site infection:SSI・縫合不全)及び再発・予後について比較検討を行った.また,E群において,術前CRT前CRP,Alb,Glasgow Prognostic score(GPS),Neutrophil/lymphocyte ratio(NLR),術後合併症と再発・予後との関連を検討した.
【結果】E群とO群において,臨床病理学的因子に有意差は認められなかった.また,術後合併症発生率にも有意差を認めなかった.両群で無再発生存率に有意差は認めなかったが,全生存率で有意差を認めた(E群:3年生存率60.6%,5年生存率55.1%;O群:3年生存率91.0%,5年生存率87.7%,p = 0.0009).また,両群の再発例では,O群1,2,3,5年生存率は100,89.7,68.6,58.1%に対し,E群では,87.5,50.0,12.5,0%と生存率の低下を認めた.E群において,CRT前CRP,Alb,GPS,NLRと術後合併症,再発・予後との関連は認められなかった.一方で,E群では,術後合併症発症が予後に関与する傾向が認められた.
【結語】高齢者LARC症例に対する術前CRTは,70歳未満症例に比し,術後合併症,再発率に有意差を認めなかった.しかしながら,高齢者の全生存率は有意に不良であり,特に再発例については,70歳未満症例に比し,術後生存期間の短縮が認められた.また,術後合併症は,術前CRT施行高齢者LARC症例の予後に影響を与える可能性があり,十分な配慮が必要と考えられた.
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