演題

85歳以上の超高齢者大腸癌手術における術後在院日数長期化に関わる因子の検討

[演者] 川上 雅代:1
[著者] 椙村 彩:1, 石沢 遼太:1, 前川 彩:1, 春日 聡:1, 岩田 乃理子:1, 太田 俊介:1, 村松 俊輔:1, 野口 典男:1, 小林 宏寿:1
1:東京都立広尾病院 外科

【目的】高齢化社会の進行に伴い超高齢者に対しても手術を施行する機会が増加しているが,術後の退院調整に難渋することも多い.そこで原発巣切除を施行した85歳以上超高齢者大腸癌症例を対象に,術後在院日数に影響を与える因子について検討した.
【対象と方法】2010年6月から2016年5月に原発巣切除を施行した,85歳以上の高齢者大腸癌40例.併存症,Performance Status(PS),modified Glasgow Prognostic Score (mGPS)などの術前因子,同居家族や居住地などの社会的背景,アプローチ法(開腹or腹腔鏡),術式,手術時間,Surgical Apgar Score (SAS)などの手術関連因子および術後合併症と,術後在院日数との関連を検討した.mGPSは手術直前の検査結果にてAlb>3.5mg/dlかつCRP<0.5mg/dlを満たすものをA群,いずれかを満たさないものをB群,いずれも満たさないものをC群とした.術後合併症はClavien-Dindo分類Grade II以上を合併症ありとした.せん妄については神経科コンサルトを要したものをせん妄ありとした.
【結果】年齢の中央値は88(85-94)歳,男性17例,女性23例.術後在院日数の中央値は18(8-84)日であった.そのため術後在院日数が19日以上のものを入院長期化群として検討を行った.
術前因子ではPS3-4(p=0.0058),社会的背景では遠隔地居住(p=0.038),手術因子では開腹手術(p=0.0079),出血量300ml以上(p=0.0015)が入院長期化に関わる危険因子であった.術後合併症は17例(42.5%)に発生,せん妄10例,surgical site infection6例,呼吸器系疾患5例,循環器系疾患4例,Clostridium difficile関連腸炎2例,その他2例(重複含む)であった.術後合併症の有無と術後在院日数の間には有意な相関を認めなかった.多変量解析では,出血量300ml以上が有意なリスク因子であった(Odds ratio 10.19(95% C.I. 1.757-92.43), p=0.0084).
【結語】超高齢者大腸癌手術においては,術後合併症よりも,術前のPSや社会的背景,手術侵襲度(出血量)が術後在院日数に影響を与えていた.上記因子により,術後在院日数の延長を予想し,患者・家族への説明や退院調整に役立つ可能性が示唆された.
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