演題

高齢者大腸がん患者における術前サルコペニア評価の有用性

[演者] 玉川 洋:1,2
[著者] 澤崎 翔:1, 井上 広英:1, 大島 貴:2, 湯川 寛夫:2, 利野 靖:2, 益田 宗孝:2
1:上白根病院 外科, 2:横浜市立大学医学部 外科治療学

はじめに】近年,高齢者の低栄養状態と筋肉量減少の関連が示唆されているが,消化器外科における周術期合併症の発生率とサルコペニアの関連についての報告は少ない.
【目的】高齢者大腸がん手術症例の術前筋肉量低下と術後合併症発生のとの関連をretrospectiveに検討した.
【方法】2011年1月から2016年10月までに,当院で大腸切除を行った80歳以上の大腸がん患者82例を対象とした.従来の報告に従い,CT撮影水平断における第三腰椎(L3)レベルの腸腰筋面積を身長で補正した値(Psosas Muscle Index,腸腰筋断面積(cm2)/身長(m)の二乗,以下PMI)を用い, 男女それぞれ中央値以下をサルコペニアありと定義した.その結果をもとにサルコペニア群,非サルコペニア群の2群に分類して術後合併症の発生率を比較した.統計学的検定は,カテゴリー比較にはχ2検定,数値比較にはt検定を用いた.変数は平均値±標準偏差もしくは中央値(範囲)で表記し,P<0.05を有意差ありとした.
【結果】年齢はサルコペニア群,非サルコペニア群でそれぞれ86.4±4.7歳vs 85.6±4.9歳で差を認めなかった.術前の患者背景ではサルコペニア群において腸閉塞合併例,PSが3以上の症例が多い傾向が認められた.術後合併症発生率はサルコペニア群(55% vs 31%, p=0.028),術中出血量が100ml以上の症例,術前抗凝固薬使用症例,脳血管障害の既往のある症例で有意に高く,手術時間の長い症例,時呼吸機能障害の既往がある症例,ASA分類で3以上の症例において高い傾向がみられた.術後在院期間はサルコペニア群で有意に延長を認めた(25.9±21.2 vs 18.2±8.5, p=0.039).
【結論】80歳以上の高齢者大腸がん手術症例において,サルコペニアの有無で分類した場合,サルコペニア群で有意に術後合併症の発生率が高かった.術前にCTを用いて腸腰筋断面積を測定することは,新たな術後合併症発生予測因子として有用である可能性が示唆された.
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